年内に政府で閣議決定する予定の「こども大綱」について、こども家庭審議会の基本政策部会は11月17日、第13回会合を開き、そのベースとなる「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~」の答申案を大筋で了承した。答申案は中間整理についてこども・若者や保護者、関係団体などに聞いた意見を反映。こどもに対する暴力の撲滅をしっかり描いてほしいという意見が複数寄せられたことを受けて、新たに学童期・思春期の重要事項の中に「体罰や不適切な指導の防止」の項目を追加するなどの加筆修正を行った。
9月に行われた前回の会合からこれまで、こども家庭庁では中間整理を基にこども・若者や保護者、関係団体などから意見を聞く場をさまざまな形態で設定し、集められた2341人・37団体、3815件の意見を整理し、一部の意見を反映させる形で答申案を作成した。
答申案ではこども施策重要事項をライフステージ別に分類しているが、そのうちライフステージを縦断する事項では、こどもの権利についての認知や理解が進んでいないことから、学校だけでなく、それ以外の教育・養育の場でも理解促進に向けた取り組みをしていくことが明確になるように表現を改めた。また、学習塾の費用を援助してほしいというこども・若者の意見があったことから、学習する機会の確保について追記した。
学童期・思春期の事項では、当初は思春期を「家族・異性との関係などに悩んだりする繊細な時期」と説明していたが、異性と書くのはやめてほしいという意見がこども・若者などから寄せられたため、「家族・異性との関係など」を「家族・友人との関係や恋愛など」と修正。学校教育に関する箇所でも、新たに「デジタル教科書」が言葉として加えられた。
さらに、こどもに対する暴力撲滅についてしっかり書いてほしいという意見が複数あったことから、新たに「体罰や不適切な指導の防止」を項目立てし、生徒指導提要などで、教職員による体罰や不適切な指導はいかなるこどもに対しても決して許されないと示されていることを踏まえ、体罰や不適切な指導の根絶に向けた取り組み強化の推進を明記した。
青年期の事項では、メンタルヘルスについて気軽に相談しづらいという意見があったことから、「若者に対する相談体制の充実」の項目が新たに設けられた。
この日の議論を踏まえ、答申案のさらなる修正は座長の秋田喜代美学習院大学文学部教授、東京大学名誉教授に一任された。答申案は11月22日に開かれるこども家庭審議会の総会で諮られる。