文科省は11月22日、人口1万人以下の市町村に配置されている指導主事を対象とした第1回「指導主事ミートアップ」をオンラインで開催した。小規模な自治体では指導主事が配置されていても1人のみのことが多く、指導主事同士がつながり、各自治体の課題や悩みを共有できるネットワークづくりを目的に開かれた。参加した指導主事らは「教育委員会の思いが学校現場に伝わらないジレンマがある」「1人で議会対応もしており、指導主事の業務の仕分けが必要」といった率直な悩みを共有し合った。
文科省が7月に公表した報告書「『令和の日本型学校教育』を推進する地方教育行政の充実に向けて」によると、高齢化や過疎化の影響により、職員数10人以下の教委は全体の3割、指導主事未配置の教委は約2割に上っている。また、小規模な自治体では指導主事が配置されていても1人のみであることが多い。
こうした状況を受け、文科省は小規模自治体の指導主事が、各市町村の課題や悩みなどを共有できるネットワークづくりの場として、オンラインで「指導主事ミートアップ」を開催。初回となるこの日は、北海道と東北5県で人口1万人以下の市町村に勤める指導主事を対象とし、17自治体18人の指導主事が参加した。
会の冒頭、同省初等中等教育局初等中等教育企画課の筒井諒太郎課長補佐は「指導主事が1人の自治体では、議会対応や事務処理など業務が多岐に渡っている。また、1人1台端末の活用や不登校、外国人児童生徒への対応など、現代的な教育課題への対応に関わる高い専門性も求められている」と述べ、「この機会に自治体間でつながり、教育課題の解決に向けたネットワークをつくってほしい」と呼び掛けた。
その後のグループ協議では、各自治体が抱える課題や、指導主事の業務を行う上での悩みなどを共有し合った。あるグループでは、1人1台端末の活用について「特に年配の教員はなかなか活用が進まない」「教委は予算も付けて前のめりになっているが、学校現場がなかなかついてきてくれない」との悩みが共有された。
それに対し、「自分自身がこれまでやってきた活用法を紹介するなどして、情報交流に努めている」「長期休みに活用法について各学校がプレゼンし合い、学び合う機会を持っている」といったアドバイスが送られた。
他にも「コロナの影響で初任者の対面の研修機会が減っている。初任者が同期とつながりを持てるような機会をつくりたい」「1人で入札業務や議会答弁などもやっている。指導主事の業務の仕分けも必要」「指導主事は立場が違うと思われ、学校現場になかなか思いが伝わらないジレンマがある」など、さまざまな悩みや課題を語り合った。
参加者はメールアドレスやLINEなどを交換し、今後も連絡を取り合いながら情報交換していくという。同省では今後も他の地域の小規模自治体の指導主事を対象とした同様の会を開催する予定。