地域限定保育士を全国展開へ 保育教諭の特例も延長で合意

地域限定保育士を全国展開へ 保育教諭の特例も延長で合意
地域限定保育士の全国展開や保育教諭の特例延長などの方針案を検討した専門委員会の第2回会合=YouTubeで取材
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 保育士不足の解消のため、こども家庭庁は11月27日、現在は国家戦略特区として一部自治体に認められている「地域限定保育士」の制度を全国展開する方針案を示した。合わせて、幼保連携型認定こども園の保育教諭の特例も2029年度末まで延長する。同日に開かれた、こども家庭審議会「幼児期までのこどもの育ち部会」の保育士資格等に関する専門委員会の第2回会合で説明され、内容についておおむね合意した。こども家庭庁では来年の通常国会での法案提出を目指す。

 国家戦略特別区域法によって創設された地域限定保育士は、資格を取得すると登録後3年間は特区となった地域でのみ保育士として働くことができ、4年目以降は全国で働くことも可能。方針案では、今後、この地域限定保育士を児童福祉法上に位置付け、地域限定保育士の登録を受けた日から3年を経過した人で、地域限定保育士として1年以上の勤務経験があれば、申請によって保育士登録ができるようにする。

 この地域限定保育士の試験は、現在行われている年2回の保育士試験を実施した上で、さらに試験を行う必要があるなど、保育士確保のために特に必要があると認める場合に限り、都道府県・政令市の判断で実施する。保育士試験と同様に筆記試験と実技試験を行うが、都道府県・政令市が実施し、国が定める要件を満たしている実技講習会を修了することで実技試験を免除したり、株式会社などの法人も指定試験機関に指定したりできるようにする。試験や実技講習会の科目・方法は国の定める基準に従って都道府県・政令市で定め、実施後に国に結果を報告する。

 また、この日の会合で示された方針案では、保育教諭の特例をさらに5年間延長する考えも提示した。幼保連携型認定こども園に勤務する保育教諭は、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方が必要とされているが、24年度末までは幼稚園免許状か保育士資格のいずれか一方で保育教諭になることができ、幼稚園教諭免許状か保育士資格の一方だけを持っている人で、3年かつ4320時間の勤務経験があれば、大学などで一定の単位を履修することで、もう一方の免許状か資格を取得できるなどの特例が定められている。これらの特例を29年度末まで延長する。ただし、特例の中には、いずれか一方の免許状・資格のみで主幹保育教諭、指導保育教諭となることができるというものもあるが、これは26年度までの延長にとどめる。

 加えて、各施設に人事計画の策定を求めた上で、免許状と資格の併有に関する計画的な促進を施設監査の際に確認することや、各施設の保育教諭の免許・資格の併用状況を都道府県が公表するなどの運用面での対応方針も示した。

 方針案は大筋で了承され、今後、幼児期までのこどもの育ち部会や子ども・子育て支援等分科会で報告される。こども家庭庁では来年の通常国会で関連する法案の提出などを予定している。

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