宇宙教育プロジェクトを展開する広域通信制高校のクラーク記念国際高校は11月27日、生徒が開発した小型人工衛星「Clark sat-1」の打ち上げに成功し、国際宇宙ステーション(ISS)に無事に運ばれたと発表した。小型人工衛星は12月末にISSきぼう実験棟から宇宙に放出され、運用を開始する計画で、人工衛星との通信などを同高の生徒が担う。
「Clark sat-1」は同高の創立30周年を記念して2021年に始まった宇宙教育プロジェクトの一環で、世界で初めて1キログラム衛星「CubeSat」の打ち上げに成功した中須賀真一東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授らが指導し、宇宙ビジネスを手掛けるSpace BDが打ち上げに協力した。1年半をかけて今年完成した重さ約0.94㌔、10㌢四方の「Clark sat-1」は、夏に宇宙航空研究開発機構(JAXA)に引き渡された後、米国フロリダ州にあるケネディ宇宙センターに輸送され、日本時間の11月10日、ISSに向けて打ち上げられた。
12月末には、日本が開発を担当したきぼう実験棟から宇宙に放出され、運用を開始する。「Clark sat-1」にはアンテナやカメラ、太陽光パネルなどが搭載されており、同高クラークネクスト東京キャンパスに設置された地上局と通信を行う。アマチュア無線従事者免許を取得した生徒が通信しながら衛星の状態をチェックしたり、音声や画像によるメッセージをやり取りしたりすることを想定している。
11月27日にオンラインで開かれた報告会に登壇した、同高を運営する学校法人創志学園の増田哲也理事長は「もちろんこの人工衛星の運用もそうだが、宇宙をテーマにした探究教育はこれからが本番だ」と強調。同高の生徒や卒業生だけでなく、さまざまな高校や大学も参加するプロジェクトに成長させていきたいと展望を語った。