課題解決型学習「シブヤ未来科」 東京・代々木中で発表会

課題解決型学習「シブヤ未来科」 東京・代々木中で発表会
バリアフリーの課題解決について発表する生徒ら=撮影:松井聡美
【協賛企画】
広 告

 東京都渋谷区立代々木中学校(山本茂浩校長、生徒392人)で12月4日、渋谷区が取り組む課題解決型学習「シブヤ未来科」の発表会が行われた。3年間、シブヤ未来科に取り組んできた3年生は「スマホ依存」や「バリアフリー」「ごみ問題」など、それぞれが感じた課題に向き合い、オリジナリティーのある解決策を示した。

 「シブヤ未来科」(昨年度までは「シブヤ科」)は、渋谷区のビジョンである「ちがいをちからに変える街」を実現していくために、同区の街にある社会課題をテーマに、子どもたちが自分で解決法を考えていく課題解決型学習。2021年度から区内の全小中学校で取り組みがスタートしたが、代々木中学校では先行して19年度から取り組んできた。

 同校では1年生は「人を知る」、2・3年生は「街の課題を解決する」をミッションとして設定。2年次にそれぞれが課題を発見し、3年次ではその解決法について考えを深めてきた。この日は先月行われた各クラスの発表会を経て選ばれた3年生8チームが発表した。

 「スマホ依存」を課題としたチームは、「歩きスマホなどが当たり前の風景になっているように、多くの人がスマホ依存に陥っている。それにより、子どもたちにも睡眠障害や感情をコントロールできないなど、身体や心の問題が起きている」と指摘。しかし、何日もデジタルデトックスをすることは容易ではないため、解決法として「修学旅行×デジタルデトックス」を提案した。

 その理由について「もともとある学校行事と組み合わせることで、デジタルデトックスにトライしやすくなるというメリットがある。また、修学旅行では対面での会話が重要で、スマホ依存の生活で退化しているリアルでのコミュニケーション力を高められるのではないか」と話し、「スマホの使い方は法律では決まっていないからこそ、自分でスマホと向き合うことが大切だ」と強調した。

 また、バリアフリーについて発表したチームは、渋谷区内のバリアフリーの現状について調べ、「公表されていないものも含め、設置数や取り組みは増えている」と説明。その上で「ただ、例えば渋谷駅は人が多過ぎて動けないなど、バリアフリー化されていても、使う人が不便だと思ったら意味がない」と指摘した。

 「渋谷駅をもっと広くするなど、物理的に変えることは難しいが、人の意識を変えるだけでも壁をなくしていけるのではないか。心のバリアから変えていこう」と訴え掛けた。

 シブヤ未来科を担当していた3年生の賀越(が・えつ)教諭は「それぞれのチームが、誰が困っているのか、どうして困っているのかなどについて深掘りして考えることができた」と話す。一方で、多くのチームが「ごみ問題」を取り上げており、「子どもたちのイメージが『渋谷の課題=ごみ問題』に固まっていた。今後、もっと違う課題がないのか、検討していけるような仕掛けが必要だ」と、来年度以降の取り組み方について改善点を挙げた。

 特別講師として関わってきた渋谷区まちづくり推進部の上田重孝さんは「自分事として取り組むことで、具体的なことを考えられたと思う。シブヤ未来科は創造力やチャレンジ精神を育むもので、長期間取り組んだことは良い経験になったのではないか」と話した。

 また、生徒らと共に渋谷区のごみ拾いなども行ったソーシャルグッド探究家のばれん太さんは「2年生の時から君たちを見てきたが、大きな成長を感じている。みんなに刺激をもらって、私も新しいことにチャレンジしている」と生徒たちの成長をたたえていた。

広 告
広 告