子どもの貧困率改善 日本は39カ国中8位、ユニセフ報告書

子どもの貧困率改善 日本は39カ国中8位、ユニセフ報告書
iStock.com/kieferpix
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 日本の子どもの貧困率に関する改善度は、39カ国中8位だったことが12月6日、ユニセフ(国連児童基金)のイノチェンティ研究所が発行する報告書で明らかとなった。OECD(経済協力開発機構)やEU(欧州連合)に加盟する40カ国の子どもの貧困の状況を分析したところ、2014年から21年にかけて貧困の中で暮らす子どもの数は全体で約8%減少したものの、依然として6900万人を超えていた。

 同研究所ではほぼ毎年、先進国における子どもの状況を比較・分析する報告書「レポートカード」を公表している。最新の「レポートカード18:豊かさの中の子どもの貧困(原題:Child Poverty in the Midst of Wealth)」は、OECDやEUに加盟する高所得国、上位中所得国の子どもの貧困の状況を調査した。

子どもの貧困率の改善度ランキング
子どもの貧困率の改善度ランキング

 14~21年にわたる子どもの貧困率の変化を国ごとにランキングした結果、日本は39カ国の中で総合順位で8位に位置し、子どもの貧困率が10%以上減少しているグループに入っていた。1位はスロベニア、2位はポーランド、3位はラトビアだった。一方で下位に目を向けると、39位がコロンビア、38位がトルコ、37位が英国だった。この間にポーランドやラトビア、リトアニアなど、経済成長に合わせて子どもの貧困を3割以上削減することができた国もあれば、フランスや英国など子どもの貧困が1割以上増加してしまった国もあることが確認できた。

 また、全体で見れば貧困の中で暮らす子どもの数は約600万人減少したが、6900万人以上の子どもが貧困の中で生活しており、報告書では、十分な教育を受けられる可能性が低くなるなど、その影響は幼少期だけでなく生涯にわたり続くと指摘。子どもの貧困を解消していくために、児童手当などの現金給付の役割拡大、保育や無償の教育などのサービスを全ての子どもが利用できるようにすることなどを提言している。

 日本のデータ提供で協力した東京都立大学子ども・若者貧困研究センター長の阿部彩教授は、比較対象となった14年ごろは08年末から始まった不況によって、過去30年間で最も子どもの貧困率が高かった時期であり、そこから21年にかけて大きく減少したことが影響していると分析。日本の子どもの貧困率が減少した要因として、母親の就労率の上昇を挙げている一方で、ひとり親世帯の貧困率がふたり親世帯よりも突出して高いことが日本の懸念点だと指摘する。

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