半数の子どもが教育格差を実感 虐待で学習意欲失う経験も

半数の子どもが教育格差を実感 虐待で学習意欲失う経験も
iStock.com/Radachynskyi
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 子どもの支援などに取り組む複数の団体で構成され、国内での子どもの権利の浸透に取り組んでいる「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン実行委員会」は12月7日、子どもたち自身が質問を考えて、全国の子どもに行ったウェブアンケートの結果を公表した。子どもに関する政府の取り組みとして、特にお金を使ってほしいことを複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは教材費や給食費、修学旅行の費用など「学校にかかるお金の無償化」で、半数程度の子どもが教育格差があることを明確に実感していた。また1割以上の子どもが、これまでに何らかの虐待を受けたことで学習への意欲を失った経験があると答えた。

 ウェブアンケートは同キャンペーンが実施する子どもメガホンプロジェクトの活動の一環で実施され、同プロジェクトの子どものメンバーが、子どもの意見表明、学校生活、教育格差、心と体の健康などについての質問を作成。9月15~19日に、日本に住む10~18歳の子ども1410人が答えた。

 まず、「子どもの権利を知っているか」の設問では▽内容まで良く知っている 9%▽内容について少し知っている 33%▽名前だけ聞いたことがある 34%▽聞いたことがない 24%――で、4分の1は子どもの権利を知らなかった。

 子どもに関する政府の取り組みの中で特にお金を使ってほしいことを3つまで答えてもらったところ、多い順に「学校にかかるお金を無料にする(教材費や給食費、修学旅行代など)」(614件)や、「お金が無くて三食ご飯を食べられない子どもたちなど、子どもへの食事の支援」(424件)、「虐待の予防や対策」(352件)、「部活動や習い事、塾などへの支援」(314件)などの項目に回答が集まった。

 また、自由回答では子どもの権利や子どもに関する政策について学校の授業で学ぶ機会を求める声が多く寄せられた。

 学校生活についての質問で、学校で心配・安心できないと感じることを複数回答で尋ねると、最も多かったのは「友達との関係性」(400件)で、次いで「身だしなみに関する学校のルール」(372件)や「先生との関係性(331件)、「クラスの雰囲気」(303件)などが多く挙がった。自由回答でも学校の校則について子どもが納得できる形に見直してほしいという意見が目立った。学校生活の中で変わってほしいところを見つけたときに、「友達や家族には言うが、学校には伝えない」というのも591件あった。

 教育格差に関する質問で、家庭環境や住んでいる地域によって教育に違いがあり、格差を感じることが「よくある」と答えたのは23%、「たまにある」と答えたのは29%で、半数ほどの子どもが教育格差を明確に感じていることが分かった。

家庭環境や住んでいる地域によって、学べる内容など教育に違いがあって格差を感じることがあるか
家庭環境や住んでいる地域によって、学べる内容など教育に違いがあって格差を感じることがあるか

 さらに、14%の子どもが、今までに学校や家庭で心理的、身体的、性的な虐待を受けたことで、勉強に集中できず学ぶ意欲がなくなってしまう経験をしたことがあると答えていた。

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