中教審の「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」の下に設置された、「義務教育の在り方ワーキンググループ」(主査:奈須正裕・上智大学総合人間科学部教授)は12月11日、第9回会合を開き、中間まとめ案について議論した。不登校児童生徒が急増し、多様な学びの場が求められている中、今回の中間まとめでは「学校こそが、引き続き義務教育の中核を担うべき」とし、学校とそれ以外の学びの場を明確に区別。その上で「公教育として必要な共通性を担保しつつ、一人一人の『良さを徹底的に伸ばす』ことに対応できる学校教育の実現」を提言した。
中間まとめ案では、「社会の分断や格差を防ぎ、他者への信頼に基づく平等で公正な社会を実現する」という学校の役割を改めて確認。その上で「学校以外の学びの場を学校と同一のものとして取り扱うことになれば、こうした学校教育の本質的な役割を担保できなくなる」として、「多様な他者を尊重し、包摂的な社会を形成する基盤としての学校こそが、引き続き義務教育の中核を担うべき」と明記した。
不登校の児童生徒については「学校としてどのように受け入れていくかを検討し、なじめない状況の改善に努めること」とし、学びの多様化学校(不登校特例校)や校内教育支援センターなどの整備、NPOやフリースクールなどとの連携の強化など、「個々の不登校児童生徒の状況に応じた学びの多様化に資する環境整備を図ること」が重要だとした。
会合では委員から「辛うじて学校以外の学びにつながっている子供もいる。書きぶりに配慮が必要ではないか」「義務教育の中核であるべき学校が、これほどの数の不登校を生み出しているのはなぜなのか、学校教育に携わる者が改めて考え直し、不登校の状態の子供たちが学校になじめない要因の解消に本気で取り組むべき」などの意見が出た。
中間まとめ案では他にも▽オンラインを活用した学びの充実▽オンラインを活用した学びへのアクセスの保障(不登校児童生徒、義務教育未修了者・形式卒業者への対応)▽保護者の働き方や生活スタイルの多様化への対応――などが提言された。
そのうち、中学校を対象に文科省が認める「遠隔教育特例校制度」については、今年6月時点での指定校数がわずか6校にとどまり、制度の活用が進んでいないとして、より学校現場の創意工夫がなされるよう、制度を見直すこととされた。WGは委員の意見などを踏まえて修正を行い、年内をめどに中間まとめを公表する。