少子化対策財源の一つ 支援金制度の素案示す

少子化対策財源の一つ 支援金制度の素案示す
支援金制度の具体的設計に関する素案が説明された大臣懇話会=オンラインで取材
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 政府の「次元の異なる少子化対策」を実現するための財源の一つとなる「支援金制度」について、こども家庭庁は12月11日に開いた支援金制度の大臣懇話会で、支援金制度の具体的設計の素案を示した。支援金制度は「児童手当」や新たに始まる「こども誰でも通園制度(仮称)」などに充てるものとし、医療保険料と合わせて徴収する。

 6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」では、3兆円半ばの「加速化プラン」の実施によって、子育て支援や少子化対策で抜本的な政策強化を目指すとしている。そのための財源確保については、こども家庭庁の下に「こども・子育て支援特別会計(こども会計)」を創設し、既存の特別会計事業を統合してこども・子育て政策の全体像と費用負担を可視化する。その上で、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することで、国民に対して実質的な負担が生じないようにするとしている。

 この基本方針の下、この日の懇話会で示された支援金制度の具体的設計についての素案では、支援金を充てる事業は「出産・子育て応援給付金」「共働き・共育てを推進するための経済支援」「こども誰でも通園制度(仮称)」「児童手当」など、子育て支援の中でも特に0~2歳のこどもや児童手当を対象としたものを対象にすることとし、既存の医療保険料と合わせて徴収する仕組みを提示した。

 医療保険料と合わせて全ての世代から支援金を徴収する理由として、こども家庭庁は▽急速な少子化・人口減少に歯止めをかけることは、全ての国民と経済主体にとって重要な受益を持ち、医療保険制度を含む社会保険制度の持続可能性を高める▽医療保険制度に新たな分かち合い・連帯の仕組みを組み込み、実効性ある少子化対策を実現することは、制度を支える連帯の仕組みをさらに強固にする▽医療保険制度の対象は疾病や負傷、出産、死亡など幅広い▽支援金の充当対象事業の実施によってこどもの成育環境の改善・整備が進むことは、被保険者の心身の健康の維持・向上にもつながると期待される――などを挙げている。

 支援金制度は2026年度から28年度までに段階的に構築するが、支援金制度を充てる事業も並行してスタート・拡充することから、その間はつなぎとしてこども・子育て支援特例公債を発行。その償還にも支援金を充てる。

 支援金制度についての素案は、同日に開かれた政府の「こども未来戦略会議」で示された戦略案にも盛り込まれた。政府は来年度通常国会に提出予定の法案で、支援金制度は実質的な社会保険負担軽減効果の範囲内で構築することや、28年度までの各年度の支援金総額、社会保障制度の歳出改革の推進などを規定する方針。

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