GIGA端末更新、自治体の役割の整理を 全国知事会が要望

GIGA端末更新、自治体の役割の整理を 全国知事会が要望
要望を伝える大村知事(左下)と説明を聞く盛山文科相(右上)=撮影:佐野領
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 全国知事会文教・スポーツ常任委員会の大村秀章委員長(愛知県知事)は12月19日、オンラインで盛山正仁文科相と面会し、GIGAスクール構想の推進や教員人材の確保に向け、国に取り組みを求める政策の提言を伝えた。提言では、小中学生に1人1台整備された端末の更新について、国、都道府県、政令市、市区町村などの役割を改めて整理した上で、事業スキームやスケジュールを示すよう求めるとともに、高校生向けの端末更新についても安定的なスキームを全額国費で構築することを要望した。教員人材の確保を巡っては、義務標準法の「乗ずる数」の見直しを含む教職員定数の改善や学校現場のマンパワー拡充を重ねて求めた。

 GIGAスクール構想の推進に向けた提言では、整備された端末の活用状況について、地域間・学校間で格差が見られるとして「その解消が不可欠」と強調。また、デジタル教科書の本格導入や全国学力・学習状況調査のCBT化に必要な学校のネットワーク環境について、「通信速度が十分ではないなどの課題を抱えている学校も存在している」と指摘した。

 こうした現状を踏まえ、①端末の整備・更新について、国、都道府県および市町村の役割を整理した上で、事業スキームや事務処理方法、具体的なスケジュールを速やかに示す②高校段階における端末の整備・更新、学習基盤となるプラットフォームなどの整備についても、全自治体が見通しを持てる安定的なスキームを全額国費により構築する--ことを要望した。

 小中学校の端末更新について、政府は年度をまたいだ予算執行が可能な基金方式で進めることを決め、その原資として2023年度補正予算に2643億円を計上した。これを受けて文科省は12月13日、都道府県単位で共同調達を強化するための具体的なイメージ案を示している。

 こうした基金方式による更新端末の共同調達を受けた今回の要望内容について、全国知事会の担当者は「都道府県が基金を作り、学校設置者である市区町村が参加して共同調達するのは理解できるが、文科省の案では独自に価格交渉力を持つ政令市は共同調達に参加しなくてもいいとされている。ところが、都道府県によっては、政令市の方が調達規模が大きく、むしろ都道府県が不利になる可能性もある。そうしたことにまで配慮した事業スキームを国にはしっかりと固めてほしい」と説明している。

 教員人材の確保を巡る要望は、今年8月に全国知事会が行った提言「学校教育を担う人材の確保に関する取組の充実について」を修正したもの。教師の長時間勤務の是正と「教師不足」の解決を図ることは不可欠と指摘した上で、教師の処遇の抜本的な見直しを地方に負担を転嫁しない制度として進めることのほか、12月19日に行われた来年度予算の大臣折衝で認められた小学校高学年の教科担任制の強化や教員業務支援員の全ての小中学校への配置、副校長・教頭マネジメント支援員の配置などを求めた。

 教職員定数の改善を巡り、義務標準法の「乗ずる数」の見直しも改めて要望した。義務標準法では、学級を教員配置の算定根拠にしており、1学級に最低1人の教員が配置されるが、学級担任を受け持たずに専科指導や生徒指導などを受け持つ教員を配置するため学級数に1.13以上の係数を乗じて学級数を上回る教員を配置している。この係数が「乗ずる数」になる。この「乗ずる数」を増やせば、学校現場に担任を持たない教員の配置数が増えることになり、例えば、小学校教員1人当たりの授業時数(持ちコマ数)を減らして勤務中の「空き時間」を生み出すことにもつながる。このほか、副校長・教頭や養護教諭の複数配置の拡大も求めた。

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