今年度で「新・放課後子ども総合プラン」が最終年度を迎えるものの、依然として待機児童が1万6000人程度発生していることを受けて、こども家庭庁と文科省は12月25日、「放課後児童対策に関する二省庁会議」の第2回会合を開催し、今年度の放課後児童クラブ(学童保育)の実施状況の調査結果と、今後集中的に取り組むべき対策を取りまとめた「放課後児童対策パッケージ」を取りまとめた。会議後、加藤鮎子こども政策担当相は「待機児童の一刻も早い解消に向け、放課後児童クラブの受け皿整備にスピード感を持って取り組んでいく」と強調し、両省庁が連携して同パッケージの内容を進めていくよう指示した。
公表された放課後児童クラブの2023年5月1日時点での実施状況では、登録児童数は145万7384人と過去最高値を更新し、前年比6万5226人増だったことが分かった。放課後児童クラブ数は2万5807カ所で、前年比876カ所減。うち、「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、1万カ所以上の実施が目標だった放課後子供教室との一体型は5652カ所にとどまった。
待機児童は1万6276人で、前年比1096人増。学年別の状況を見ると、小学1年生から3年生までが前年比491人増、小学4年生から6年生までが前年比605人増だった。都道府県別では東京都が3524人、埼玉県が1881人、千葉県が1227人で、全体の約4割を占めている。
また、今年度、別途調査された10月1日時点の速報値では、登録児童数は139万9224人で、5月1日時点からは5万8160人減だった。待機児童数は8487人で、同7789人減だった。
こうした調査結果からも「新・放課後子ども総合プラン」で掲げられていた152万人の受け皿確保や待機児童の解消といった目標の達成は困難な状況であり、所管するこども家庭庁と文科省で構成される二省庁会議は、「加速化プラン」の期間中に集中的に取り組む対策を盛り込んだ総合的な「放課後児童対策パッケージ」を取りまとめた。
同パッケージでは、放課後児童クラブの待機児童の解消のために「放課後児童クラブを開設する場の確保」「放課後児童クラブを運営する人材の確保」「適切なマッチング」が必要としている。場の確保については、学校施設内外を問わず、整備を推進していく。これまで安全・安心な場の確保として学校施設の活用を推し進めてきたが、特別支援学級の増加などの事情から余裕教室の活用が見込めない場合もあるため、学校敷地内のプレハブ施設の整備や、学校外の施設整備も拡充して対応していくとした。
人材の確保では、放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点から、「加速化プラン」に盛り込まれた常勤職員配置の改善などに取り組んでいく。マッチングに関しては、正確な待機児童の発生状況や放課後児童クラブの空き状況を適時に把握することをはじめ、地域の実情に応じて、在籍している小学校から離れた放課後児童クラブへの送迎を行い、空き定員を有効活用していく。
その他、待機児童が多数発生している自治体への支援として、補助金などに関する情報提供も両省庁からプッシュ型で行う。また、今年度初めて10月1日時点の待機児童数を調査した結果、放課後児童クラブは年度前半に利用ニーズが高いことが分かった。今後、夏季休業期間にこどもが過ごす場の確保に係る自治体ごとの取り組みを調査するとともに、年度前半や夏季休業中のみの放課後児童クラブの開所支援の在り方を検討していくとしている。
会議終了後にあいさつした加藤担当相は、放課後児童対策について「待機児童の一刻も早い解消に向け、放課後児童クラブの受け皿整備にスピード感を持って取り組んでいく必要がある」との認識を示した。その上で同パッケージの着実な実行に向けて「引き続き両省庁共によく連携し、一体となって放課後児童対策の充実に取り組んでいただきたい」と、こども家庭庁と文科省の連携を求めた。