こども誰でも通園制度の試行的事業 中間取りまとめを了承

こども誰でも通園制度の試行的事業 中間取りまとめを了承
こども誰でも通園制度の試行的事業の実施に向けた中間取りまとめについて、大筋で合意したこども家庭庁の検討会=オンラインで取材
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 保護者の就労要件にかかわらず、0~2歳のこどもを月に一定の時間まで保育所などに預けることのできる新たな通園給付「こども誰でも通園制度」の本格実施に向けて、2024年にスタートする試行的事業の在り方を議論してきたこども家庭庁の検討会は12月25日、中間取りまとめの内容を大筋で了承した。こども家庭庁では、この試行的事業で課題などを洗い出しつつ、25年度に制度化し、26年度に全国全ての自治体で実施するのを視野に、24年の通常国会での法案提出を目指す方針。

 この日の会合で示された中間取りまとめ案では、こども誰でも通園制度は、在宅で子育てをする世帯のこどもも家庭とは異なる経験や家族以外の人と関わる機会が得られること、こどもに対する関わりや遊びなどについて専門的な理解を持つ人がいる場で、同じ年頃のこどもたちが触れ合いながら、家庭にいるだけでは得られないさまざまな経験を通じて成長していくことなどができるといった、こどもの成長の観点から意義があると強調。保育所にとって、多機能化の大きな柱の一つになるとした。

 その上で、制度の本格的な実施を見据えて24年に始まる試行的事業は、実施自治体数は拡充させた上で人口規模に応じた自治体ごとの補助総額の上限を設け、その範囲内で多くの事業者が実施できるようにすること、補助基準上一人当たり「月10時間」を上限として行うことなどの枠組みを示し、施設・事業類型によって具体的にどのような事業実施イメージが考えられるかや留意点などを整理した。

 また、合わせて示された試行的事業の実施要綱案では、市町村から委託先へ、事業経費として支出する金額はこども一人1時間当たり850円を基本とすることや、事業に必要な経費の一部について、こども一人1時間当たり300円程度を標準として、各事業所で設定した額を保護者負担とすることができるといったことを定めている。

 会合の冒頭であいさつした加藤鮎子こども政策担当相は「保護者の就労要件を問わないとすることにより、これまで保育所等に通うことのなかったこどもたちについても保育所等で過ごすことができる機会を保障し、支援していくことは、従来の幼児教育・保育とは異なる視点で制度を構築していくという意味で画期的な転換になると考えている」と述べ、同制度への期待を寄せた。

 こども誰でも通園制度の本格実施に向けた試行的事業は当初、24年度からのスタートを想定していたが、前倒しで実施できるように今年度補正予算が組まれたことから、こども家庭庁では中間取りまとめの議論と並行して、自治体や施設への説明会を実施。今後、試行的事業の実施を進めながら、制度化に向けた準備も行う。24年の通常国会で法案を提出し、25年度に制度化、26年度には全国全ての自治体での実施を目指している。

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