1月1日に令和6年能登半島地震が発生したことを受け、盛山正仁文科相は1月5日、文部科学省で臨時会見を開き、被災地域の学校で来週に予定されている新学期の開始について、「児童生徒の安全確保を最優先に、柔軟に取り扱うこと」を求めた。また、文科省として▽就学援助について被災者に寄り添った弾力的な対応を求める▽スクールカウンセラー(SC)の追加配置などによる児童生徒の心のケアの充実▽教職員の加配や学習指導員の追加配置--などに取り組む考えを表明した。
盛山文科相は「被災地の状況はまだ把握し切れていないし、余震が続いている。とにかく児童生徒の安全確保が最重要。その中で就学機会の確保を図っていくことになる」と説明した。
これに先立ち、文科省は1月4日、都道府県の教育委員会などに宛て、能登半島地震は予断を許さない状況にあるとした上で、学校教育活動を巡る対応の留意点を通知した。
それによると、①新学期の開始は、児童生徒の安全確保を最優先として、学校の設置者の判断により、柔軟に取り扱う②公立学校が避難所となっている教委は、避難所の運営について防災担当部局と調整を行う③被災した児童生徒から公立学校への受け入れの希望があった場合には、可能な限り弾力的に取り扱い、速やかに受け入れる。国私立学校に受け入れの希望があった場合には、可能な限り受け入れに努める。高校は、収容定員を超えた受け入れについても、特段の配慮をする④学校施設については、安全性を確認するとともに、がれきの除去など当面必要な応急復旧措置を行い、児童生徒の安全に万全を期す⑤中学校や高校の来年度入学者選抜の実施にあたり、出願期間の延長や追試験の実施など、被災した受験生の受験機会を確保するよう弾力的に対応する--ことなどを求めた。
能登半島地震による学校施設への被害について、1月5日正午時点での文科省のまとめによると、被害を受けた公立学校施設は396校となっている。内訳は新潟県131校、富山県175校、石川県88校など。学校種別にみると、小学校179校、中学校91校、高校91校など。ただし、文科省では「被害が大きかった石川県では、まだ被害状況が把握し切れていない」としている。
石川県教委学校指導課によると、県内の公立小学校約200校、公立中学校約80校のうち、予定通り1月9日に新学期の始業式を行うことができる学校が何校あるかは1月5日現在、「把握できない状況」という。