教員養成の研究者育成に向けて、北海道教育大学、大阪教育大学、福岡教育大学は1月17日、2025年度に共同で博士後期課程を設置することを目指して協定を締結した。離れた地域にある教員養成単科大学のみによる博士後期課程の設置としては初めての事例で、それぞれの大学の特色や強みを生かし、オンラインなどを活用して学校現場の課題に臨床的にアプローチする研究者を育てる。
設置される博士後期課程の「共同学校教育学専攻」は、3大学で12人程度の定員を想定。学校現場に入りながら、そこでの課題を学問として深めていく研究者の養成を目指す。「共同ネットワークラボ」を設け、在籍する大学院生同士がオンラインなどでつながって学ぶことや、指導教員のうち主となる指導教員は在籍している大学の教員が務める一方、副指導教員は他大学の教員が担うといったことも検討されている。
協定締結にあたり都内で開かれた3大学の学長による記者会見で、北海道教育大学の田口哲学長は「それぞれの地域の教育課題を研究していく上で、地域に閉じているだけでは駄目だと思っている。研究をやって、実際に成果を実践に生かすプロセスの中で、例えば北海道の課題を大阪や福岡でやってみるということも可能になるのではないか」と話した。
また、福岡教育大学の飯田慎司学長は、「博士後期課程の空白地帯にこの共同教育課程ができることで、大学教員や教育委員会のエキスパートとして活躍したいという気持ちを持った修士課程や教職大学院の修了者のニーズに応えられると思う」と期待を寄せた。
文部科学省の教員養成フラッグシップ大学に指定されている大阪教育大学の岡本幾子学長は「物理的な距離は問題にならない。むしろ離れていても充実した特徴のある教育ができることを、この3大学で証明していきたい」と意気込んだ。