改正児童福祉法の施行に向けて、こども家庭審議会の社会的養育・家庭支援部会は1月23日、第4回会合を開き、里親委託の推進などを議論した。国は、家庭に近い環境での養護を促す目的で里親への委託率を上げ、里親支援センターの創設といった支援を拡充させる方針だが、委員からは数値目標が独り歩きしてしまうことへの懸念の声が上がった。
4月1日から施行される改正児童福祉法では、里親の担い手を確保やサポートを行う里親支援センターの創設を盛り込んでおり、国は来年度予算案で、里親を希望する人への事前研修の必要経費の支援などを盛り込み、家庭での養育環境に近い里親制度の充実を図る。一方で、里親制度の社会的認知度は低く、登録里親が少ないことが課題となっており、その対策として、新たに次期社会的養育推進計画策定後の里親委託について、毎年度、都道府県別の進捗(しんちょく)状況を調査して自治体別の数値を公表したり、里親委託が進まない要因分析や対応について、自治体に助言したりする方策を掲げている。
この日の会合ではこうした里親委託の推進がテーマの一つとして議論された。
牧戸貞委員(三重県桑名市子ども未来部子ども総合センター長)は、桑名市での里親登録を増やしていく取り組みとして、まずは短期間のショートステイの委託をやってもらう取り組みを紹介。「いきなり長期の委託をするというのはハードルが高いと思う。初めての委託はまずは1日だけなど、ショートステイの経験を積んでもらえば、里親の方も里親について実感できる。われわれも次の委託につながり、里親の方も自信をつけられる。ショートステイは里親委託の充実につながると思う」と提案した。
また、恒松大輔委員(全国自立援助ホーム協議会事務局長、社会福祉法人子供の家自立援助ホームあすなろ荘前ホーム長)が「(里親委託の促進について)一番気になるのは数字ありきになってしまうところだ。里親の委託率を上げるのと同時に、こどもが里親、児童養護施設、ファミリーホーム、自立援助施設などを選べる環境を整えてほしい」と指摘するなど、里親の委託率などの数値目標の設定が、本来の目的からかけ離れた結果を生む可能性について危惧する声もあった。