国立がん研究センターは1月25日、小児がんや思春期・若年成人(AYA世代)のがんの10年生存率を初めて公表した。小児がんの多くは、5年から10年にかけての生存率の大きな低下が見られず、予後が良いことが判明。同センターは長期的な支援の必要性などを指摘している。
国が指定するがん診療連携拠点病院などの院内がん登録実施施設から提供された2011年の診断例(小児がん1237件、AYA世代のがん1万1965件)を基に分析した。生存率は複数の算出方法があるが、今回は死因に関係なく全ての死亡を計算に含める「実測生存率」を用いた。
0~14歳を対象にした小児がんの10年生存率をがんの種類別でみると、▽白血病86.2%▽リンパ腫91.4%▽脳腫瘍71.5%▽神経芽腫67.9%▽骨腫瘍71.4%▽軟部腫瘍73.5%▽胚細胞腫瘍95.3%▽その他のがん91.1%――となった。多くの小児がんで5年生存率と10年生存率で大きな変化はみられなかった(=表)。
AYA世代の10年生存率は、▽白血病70.1%▽リンパ腫86.0%▽脳・脊髄腫瘍77.8%▽上皮性の悪性腫瘍78.3%▽乳がん83.5%▽子宮頚部・子宮がん87.2%――などとなった。5年から10年にかけての生存率の変化は、がんの種類によって傾向が異なることが分かった。
今回の結果を踏まえ、同センターでは、多くの小児がんの予後は良好であることから、がんサバイバーとしての長期合併症などに対する調査や支援が必要だと指摘している。