埼玉県の戸田市立美女木小学校(田野正毅校長、児童670人)で1月26日、SNSやメディアの情報との向き合い方を学ぶ授業が行われた。この日5年生が取り組んだのは、能登半島地震の直後にSNSで流れた偽情報を検証すること。今回の地震と関係のない画像を載せたり、うその救助要請をして寄付金の支払いを求めたりする投稿を実際に見ながら、子供たちは講師と共に、インターネット上に溢れる情報とどう向き合うかを考えた。
同小では今年度、5年生へのデジタル・シティズンシップ教育の一環として、インフォハントの安藤未希さんを講師に招き、メディアや情報との向き合い方を学んできた。6回目となる今回は、今年1月1日に発生した能登半島地震の直後、SNSなどで拡散された偽の情報を授業の題材に取り上げた。
安藤さんは子供たちに、今回の地震を人工地震だと主張する投稿や、救助を要請しながら実在しない住所をかたり、寄付金を支払うよう誘導する投稿、さらに不十分な情報を基に書かれた新聞記事を見せた。子供たちは「(画像に映り込んでいる)日付がおかしい」などと指摘。「自分が拡散したら(救助要請した人が)助かるかもしれない、と思うとドキッとするけれど、拡散する前に考えてみよう」と、安藤さんは子供たちに語った。
偽情報を検証した後、「怪しい情報を見つけたら、日付を確認してみる」「他のサイトも調べてみる」などと語った子供たち。安藤さんは「発信者は誰か、いつ発信されたか、他にどんな投稿をしているか、自分で確認できるものはあるか」を調べることが重要だと語り、「情報の発信者が得することがあるか、本当に困っているのか、それとも楽しんでいるのかなど、なぜ発信しているかを考えてみよう」と呼び掛けた。
授業の最後に子供たちは「信じる前に調べたり、確認したりすることが大切だと思った」「SNSには、ただ間違っている情報だけでなく、人からお金をだまし取ったりする詐欺もあると知った」「パニックになっているとき、人はだまされやすい。冷静に情報を確認しないと」「間違えた情報を発信してしまったときは、ちゃんと謝罪した方がよい」などと、今回の授業で学んだことを、タブレットを使って書きつづった。
5年担任の菊池基祈教諭は「子供たちは当初、与えられた情報に飛び付いてしまうこともあったが、安藤さんの授業を何度も受けているうちに『この情報は本当に正しいのか』『この情報をどう活用していくか』と考えを広げていくようになった。能登半島地震はタイムリーな話題で子供たちの関心も高く、取り上げてもらえてよかった」と話した。