海洋ごみを実験して分析 環境美化教育の最優秀校を表彰

海洋ごみを実験して分析 環境美化教育の最優秀校を表彰
表彰を受ける長原小の児童ら=撮影:藤井孝良
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 飲料メーカー6団体で構成され、飲料容器のリサイクルや散乱防止に取り組む食品容器環境美化協会は1月26日、全国各地で優れた環境美化教育に取り組む最優秀校の表彰式を行った。最優秀校には鹿児島県屋久島町立金岳小中学校(文部科学大臣賞)、青森県鰺ヶ沢町立舞戸小学校(農林水産大臣賞)、京都府舞鶴市立大浦小学校(環境大臣賞)、徳島県松茂町立長原小学校(協会会長賞)が選ばれた。

 同協会が独創的な環境美化教育に継続的に取り組み、地域の環境美化に貢献している小中学校を表彰する「環境美化教育優良校等表彰」は今年度で24回目を迎えた。今回は38都道府県から各1校が推薦され、最優秀校に4校、優秀校に6校が選ばれた。

 最優秀校の一つである金岳小中学校は、2015年に発生した噴火により、1年あまり全島民が屋久島に避難していた口永良部島にある。同校では、島の地形や海流の影響で漂着ごみが集まってしまう西之浜海岸の清掃活動に地域と一緒に取り組む中で、マイクロプラスチックなどの問題解決に取り組んだ。例えば、実際にプラスチックを洗濯機に入れてマイクロプラスチックになるまでの過程を調べたり、プラスチックに長期間日光を当てるなどして、紫外線や海水による劣化の再現を試みたりと、清掃活動で得た気付きを基に、仮設を立てて検証する探究学習を展開してきた。

 表彰式で同校を代表してあいさつした中学3年生の貴舩桃さんは「これからも学校と地域の方々全員で美化教育に励んでいけたら」と晴れやかな表情を浮かべた。

 同じく最優秀校に輝いた舞戸小学校では、青森海上保安部の協力で行っている海洋ごみの調査や地元の農家などと連携した食育によって、山や川の自然が海の環境保全と関連していることを6年間かけて学ぶ活動が、大浦小学校や長原小学校では、マイクロプラスチックや海洋ごみを使ったアクセサリーや楽器、アート作品を通して、環境問題について地域に発信する活動が、それぞれ高く評価された。

 審査委員長の小澤紀美子東京学芸大学名誉教授は、最優秀校をはじめとする各学校の取り組みについて、「探究活動は、葉っぱをたくさんつける教育ではない。地域の皆さんと共に根っこを育む学びが皆さんの活動で見えてきた。根っこがその土地の土壌の成分を吸い取り、自分で芽を出し、枝を出し、そこにそれぞれの子どもの個性ある葉っぱが出てくる」と指摘。「海洋ごみがトピックとして取り上げられていたが、ごみからごみをつくるのではなく、新たなクリエーティブな力を発揮して地域を巻き込んでいく。そういった意味で持続可能な地域づくりの一つの役割を、子どもたちが担っているのではないか」と講評した。

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