優れた教員の確保で「公教育の再生」 岸田首相、代表質問で答弁

優れた教員の確保で「公教育の再生」 岸田首相、代表質問で答弁
衆院代表質問で答弁する岸田首相=衆議院インターネット審議中継から
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 岸田文雄首相は1月31日、衆議院の代表質問で、前日の施政方針演説で表明した「公教育の再生」の具体的な内容について「優れた教師を確保するため、働き方改革のさらなる加速化、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、育成支援を一体的に進める」と答弁し、優秀な教員の確保を通じて公教育の充実を図る考えを説明した。また、大学院修士段階に導入される出世払い型の授業料後払い制度(日本版HECS)について、学部段階への導入に向けて検討を加速させる意欲を示した。

 この日の代表質問では、自民党の渡海紀三朗政調会長が「教育の再生のためには、教師に優れた人材を確保することが何よりも重要」と指摘。自民党が昨年5月、政策提言「令和の教育人材確保実現プラン」をまとめたことに改めて触れながら、岸田首相に見解をただした。同プランでは、教員の長時間勤務を「将来的には月20時間程度を目指す」とするとともに、給特法の教職調整額を現行の4%から「少なくとも10%以上に増額」することなどを打ち出している。また、日本版HECSについて自民党が学部段階を含めた本格導入を目指す提言を行ったことを説明し、高等教育の負担軽減に向けた首相の考えを聞いた。

 これに対し、岸田首相は2024年度予算案に、小学校高学年の教科担任制の1年前倒しでの実施や、教員業務支援員の全ての小・中学校への配置に必要な経費を計上したことを説明。働き方改革の加速、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、育成支援によって優れた教師を確保し、「質の高い公教育の再生に取り組んでいく」と述べた。

 また、22年度の小中学校における不登校の児童生徒数が30万人に近づいたことを受け、不登校対策として、校内の教育支援センターの設置促進や、子供へのアンケートを基に学校が子供たちにとって生活しやすい雰囲気となるように改善する取り組みなどを推進する考えを表明。「不登校対策を強化し、全ての子供が、学校において適切な指導や支援が受けられるよう、安心して学べる魅力的な学校作りを進めていく」と話した。

 高等教育費の負担軽減については、24年度から給付型奨学金を多子世帯と理工農系の中間層に拡大し、続けて25年度から子供3人以上を扶養している場合、大学などの授業料や入学料を一定額まで無償とすることを説明。出世払い型の授業料後払い制度(日本版HECS)については、大学院修士段階に導入した上で「学部段階への本格導入に向けたさらなる検討を進める。今後の議論を踏まえて、速やかに結論を得ていく」と述べ、学部段階への導入に向けて検討を進める意欲を示した。

 これに先立ち、立憲民主党の泉健太代表は、公立小・中学校の給食費無償について「最速で何年後に給食費無償化を実現できると考えているのか」と問いただした。

 岸田首相は「学校給食費の無償化の検討にあたっては、一部の自治体や学校において学校給食が実施されていない状況があるため、児童生徒間の公平性等の観点から、実態を把握した上で課題を整理する必要がある。学校給食費の無償化の時期について、現時点で答えることは困難」と返答。その上で、「全国ベースの実態調査を行い、小中学校の給食実施状況の違いや、法制面を含めた課題を整理して、速やかに結論を出していく」と述べて理解を求めた。

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