教員不足などの解消に向け、東京都教育委員会は2024年度に実施する教員採用試験で、一定のキャリアがある教員経験者を主任教諭として任用する採用枠を新たに設ける。また、離職防止対策を強化するため、小学校の新人教員が同年代の先輩教員に仕事の悩みなどを相談できる「メンター」の仕組みも導入する。いずれも2月1日に開かれた都教委の定例会で報告された。
今年度の東京都の教員採用試験は、受験者数が10年ぶりに増えたものの、採用者数も増加したため、全体では1.6倍、小学校では1.1倍の低倍率を記録するなど志願者の確保が課題となっている。都教委は主任教諭の採用枠を設けることで、幅広い層の人材を掘り起こすとともに、即戦力を確保したい考えだ。
一方、メンター制度を導入するのは、新人教員の1年以内の離職率が増加傾向にあるためだ。メンター役の教員に対しては、コミュニケーション手法などを身に付けてもらう研修などを実施するという。さらに管理職や同僚の教員向けの「若手教員とのコミュニケーションの手引」や、新人教員にはなじみのない学校現場の専門用語や略語を解説した「教育用語集」を作成するなど離職防止対策を強化する。
1日の定例会ではこのほか、小学校1~3年生で副担任相当の業務を担う「エデュケーション・アシスタント」を都内全ての公立小学校に配置したり、小中学校のICT担当や中学校の学年主任に対する持ちコマ数の軽減を都内全公立小中学校に拡大したりといった教員の負担軽減策も示された。
委員からは「社会人が企業を辞めて教員になるのは現実的に難しい。企業と連携して、学校に2~3年ほど出向して、その上で教員になるかを判断するといった、人材を呼び込む仕掛けづくりなどがあるとよい」「『教育用語集』は教員志望の学生がいる大学などに配布してはどうか」といった提案もあった。