東京都教育委員会は2月1日、2024年度から5年間の教育施策の基本的な方針を示した「東京都教育ビジョン」の案を公表した。「誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実」を柱の一つに据え、教育におけるインクルージョン(包摂)の推進やさまざまな困難を抱える子供へのサポートに取り組むことを強調している。パブリックコメントを通じて都民の意見を聞き、年度内に策定する。
ビジョンは5年ごとに定められており、今回のものは第5次にあたる。国の第4期教育振興基本計画や2021年に知事が定めた「東京都教育施策大綱」を踏まえ、▽自ら未来を切り拓く力の育成▽誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実▽子供たちの学びを支える教職員・学校の力の強化――の3つを柱に設定した。
「誰一人取り残さないきめ細かな教育の充実」では、障害のある子供の可能性を最大限に伸ばすため、デジタルを活用した特別支援教育の推進や障害のある子供と障害のない子供が一緒に学ぶ「共同学習」の実施、特別支援学校に在籍している子供が自宅のある地域の公立小中学校に副次的な籍を置く「副籍制度」の活用による交流の推進などを盛り込んだ。また、外国人児童生徒への日本語指導の充実や不登校児童生徒への多様な支援の拡充なども掲げた。
また、都教委は1日、教育のデジタル化を加速させるための「東京都学校教育情報化推進計画」の案も併せて示した。高校の情報科で、専門家による講義や指導教諭による模擬授業をオンデマンドで配信し、情報活用能力の育成を図るほか、仮想空間を活用した学びの場を提供したり、校務でのデータ利活用を推し進めたりする方向性も打ち出した。
都教委は「東京都教育ビジョン」と「東京都学校教育情報化推進計画」について、3月1日までパブリックコメントを実施している。