少年院の子ら対象に初の試み メタバース空間で企業説明会

少年院の子ら対象に初の試み メタバース空間で企業説明会
仕事の説明をする企業の担当者=撮影:藤井孝良
【協賛企画】
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 少年院に入っている子どもらの社会復帰の可能性を広げようと、日本財団は2月2日、受刑者や少年院在院者の採用に取り組んでいる企業と連携したメタバース空間での企業説明会を実施した。メタバース空間を活用した受刑者や少年院在院者の就労支援は日本で初めての試みで、各地の刑務所や少年院などをオンラインで結び、企業の担当者と社会に出た後の仕事などについて話をした。

 日本財団では、受刑者や少年院在院者の社会復帰を支援するため、企業が親代わりとなって再チャレンジできる環境をつくり、再犯防止に取り組む「職親プロジェクト」に取り組んでいる。メタバース空間を活用した企業説明会はその一環で行われ、13社が仮想のブースを出展。全国各地の刑務所や少年院をつなぎ、受刑者や少年院の子どもたちはアバターとなって興味のある企業のブースに訪問し、担当者から説明を受けた。

 プライバシーに配慮するため、受刑者や少年院の子どもたちのアバターは個人が特定されないようにされ、企業の担当者とのやりとりは会話で主に行われた。

 一方で企業の担当者は、話を聞きに来るとこれまでの仕事の経験を質問したり、仕事の内容や支援について親身になって説明したりしていた。参加した企業の担当者は「仕事を頑張るというよりも、まずは生活を安定させたいという思いが強く、住む場所や給与に関する質問が多かった。これまでだと最初は当たり障りのない質問から入りがちだが、メタバースならば聞きたいことも単刀直入に聞ける。きっかけとしては、とてもよいのではないか」と話す。

 これまで、受刑者や少年院在院者の採用は各企業が矯正施設を訪問したり、入社を希望する人とは手紙でやりとりをしたりといった負担や制約が伴うことが多かった。日本財団では、メタバース空間を活用することでこうした課題が解決され、受刑者や少年院にいる子どもたちにとっても、社会に出た後の選択肢をより多く知るきっかけになると、この取り組みに期待を寄せている。

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