大学入試で適切な配慮を 障害ある学生の支援策、年度内に公表へ

大学入試で適切な配慮を 障害ある学生の支援策、年度内に公表へ
1月22日に開かれた第10回会合(文科省YouTubeで取材)
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 文部科学省の「障害のある学生の修学支援に関する検討会」(座長:竹田一則筑波大学人間系教授)は、大学入試での合理的配慮を、選抜方法にかかわらず適切に行うことなどを盛り込んだ第3次まとめを今年度内に公表する。このほど開かれた第10回会合では、第3次まとめ案の最終審議が行われ、委員からは障害のある学生が直面する困難などを踏まえた意見が出された。文科省は委員の意見を受け、表記などを見直した上で取りまとめる。

 第10回会合で議論された第3次まとめ案では、大学入試での試験時間の延長や、別室での受験、補聴器やパソコンの持参・使用、解答方法の変更などを認めている大学が増えていると指摘。また、受験上の配慮について紙の入試要項やウェブサイトに記載したり、事前相談を受け付けたりする大学も増えているなど、一定の改善が見られるとした。

 一方、オープンキャンパスや進学説明会で、その場で対応した担当者の判断で合理的配慮の提供が断られたり、「前例がない」とされたりするケースや、入試で他の受験生への影響や不正の可能性を理由に、合理的配慮がなされないケースがあるなどと指摘した。

 こうした状況を踏まえ、まとめ案では「どのような選抜方法であるにもかかわらず、合理的配慮を適切に実施することが重要」と強調。受験生側も、自身に必要な合理的配慮や、大学の設備や試験形態を十分に理解していない可能性もあるとして「受験生との建設的対話を通じ、より適切な配慮に結び付けることが重要」とした。

 合わせて、「合理的配慮を決定するまでのプロセスや、配慮決定までの期間を伝えるなど、申請手続きを明確に示しておくことや、評価方法を明確化しておくことが望ましい」としたほか、合理的配慮を理由に減点を行うなどの不利な扱いをすることは「不当な差別的取り扱いに該当することに留意が必要」とした。

 第10回会合では委員から「どのような対応をしたらよいかが具体的に分かる記載がほしい」「入試前の相談で入学後の支援の相談をさせてもらえず、受験生がその大学を受験してよいのか、判断材料が得られない場合がある」といった意見が出た。文科省はこうした委員の意見を踏まえ、表記などを修正した上で第3次まとめを公表する。

 大学での合理的配慮については、2012年度に公表された第1次まとめで「障害のある者が、他の者と平等に『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するために、大学が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある学生に対し、その状況に応じて、大学において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、同時に「大学に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義している。

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