宮城県白石市教育委員会は2月8日、「子供たちが行きたくなる学校づくり」をテーマにシンポジウムを開いた。「学びの多様化学校」(不登校特例校)として今年度開校した同市立白石南小学校・白石南中学校(白石きぼう学園)の我妻聡美校長、生出真理教頭が登壇。2人は、不登校経験のある児童生徒が、同校での生活の中で仲間とのつながりや学びへの意欲を取り戻していったことを紹介するとともに、教員たちがこれまで子供たちの話をどのように聞き、受け止めてきたかを語った。
我妻校長はシンポジウムの中で、学び直しの時間や体験活動など、同校の特色あるカリキュラムを説明したほか、子供たちと向き合ってきた日々を振り返った。当初の苦労について、「転入時にこちらから多くのことを話し掛けても、会話が成り立たない。その子が関心を持っていることや、何をしているのかをそのまま受け止めるようにした。信頼関係を築く時間が大切だった」と話した。少し時間がたつと、子供たちからは「どうせ自分は勉強ができない』といった愚痴や不満、弱音が出てくるようになり、今まで出さなかった本当の心配事やつらいことも話してくれるようになったという。
教職員たちに求めてきたことについては、「最後まで子供たちの話を聞いてほしいこと、子供たちが発するネガティブな言葉を、ポジティブな言葉に変えて話を返してほしいこと、そして『あなたはどうしたいの?』『どう思っているの?』と自分で決める問い掛けをしてほしいことだった」と述べた。
生出教頭も子供たちに働き掛ける際の工夫について、「本校ではよく『無理しなくていいよ』と言う。押し付けない、決め付けない、規定しない。自分のペースでいろいろなことができ、子供たちはとても安心している」と説明した。「自分で決めていい』と伝え、子供たちが選んだり、決めたりする場をたくさん作った結果、授業中に一時的に学級を離れる「クールダウン」をどこでどう過ごすのかを子供たち自身が決めるようになるなど、成果が上がっているという。
我妻校長と同じく、生出教頭も子供たちの声にじっくりと耳を傾けることの大切さを強調した。「『そうか』『うんうん、それで』と言いながら、たくさん聞く。雑談もたくさんする。子供たちの変化が見られた時には『すごいね』『がんばったね』と伝え、認めている。時にはあえて見守り、『今、この子はどんな気持ちでいるのかな』『私たちにできることは何だろう』と考えてきた」と話した。
その上で「子供に寄り添うというのは、その子のことを丸ごと受け止めることだ。私たちがそれを大事にしてきたことで、子供たちの心に少しずつエネルギーがたまって、変わってきたのかなと思う」と振り返った。