神戸市が高校の通学定期代を無料に 大阪府の無償化に対抗

神戸市が高校の通学定期代を無料に 大阪府の無償化に対抗
iStock.com/studio marble
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 神戸市は今年9月から、市内の高校に通う市内在住の高校生の通学定期代を無料にする。2月14日に公表した来年度予算案に必要経費を盛り込んだ。大阪府が来年度から段階的に高校の授業料無償化を始めることへの対抗策で、市内の高校への影響を最小限にしたいという思惑がある。

 これまでも神戸市では、市内在住の高校生の通学定期代に関して、市外の高校に通う場合も含めて月1万2000円を超える分の半額を、所得制限を設けず補助してきた。新たな制度では、市内の国公私立の高校に通う場合は通学定期代を無料とする。高校だけでなく、特別支援学校の高等部をはじめ、高等専門学校や外国人学校の高校生年代の生徒にも適用される。

 2024年度は2学期が始まる9月からの実施とし、12億3000万円を来年度予算案に計上。来年度以降は通年で実施し、その場合は約20億円程度が必要になると見積もっている。

 申請すると、通学定期代分の補助金が振り込まれる仕組みを想定している。また、市外の高校に通う場合は、従来の補助が適用される。

 こうした通学費用の大幅な負担軽減を打ち出した背景には、大阪府が24年度から段階的に始める高校の授業料無償化の動きがある。大阪府の計画では26年度に府内の高校について完全無償化を実現する予定となっているが、これによって神戸市から子育て世帯が流出したり、居住地として選ばれなくなってしまったりすることが懸念され、さらには市内の高校の生徒数・志願者数の減少などにつながる可能性もあると危機感を募らせている。神戸市では、もともと多様な高校が集まっている特色を維持することが、子育て世帯をつなぎ留め、市の活性化につながるとみている。

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