「段ボールを運ぶだけ! 簡単なお仕事です」「最低1件5万円から支給♪」「DMでご連絡ください」。こんなアルバイト求人に応募してもよいだろうか――。近年、「闇バイト」と呼ばれる特殊詐欺に若者が巻き込まれるケースが社会問題となっていることを背景に、東京都千代田区の正則学園高校(梨本洋三校長、生徒約660人)で2月20日、アルバイトを巡るトラブルを防ぐための授業が行われた。授業では、闇バイトの求人で使われがちな文言や連絡手段などを具体的に示し、正しい知識で身を守る必要性を訴えた。
同校の2年生に授業を行ったのは、アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」を運営する人材サービス企業・ディップの堤花野(かの)さん。「闇バイトを知っているか」という質問には、大半の生徒が手を挙げた。堤さんは「誰しもが危険な経験をする可能性がある」と指摘。警戒すべき文言として「受け子」「出し子」「UD(受け子・出し子)」「かけ子」「運び屋」「パチンコ・パチスロの打ち子」「スマートフォンの契約代行」「口座・通帳売買」「初心者歓迎」「簡単に高収入」――などを挙げた。
堤さんによれば、闇バイトは通常の求人サイトには掲載できないため、SNSやインターネット掲示板で募集する手口が主流だという。闇バイトを見分ける上では「仕事内容が分かりにくい」「性別を限定している」「給料が異常に高い」「連絡方法がSNSである」といった観点からチェックすべきだと語った。その上で、警察庁の啓発資料から作成した架空の求人の例を生徒たちに見せ、どの求人に闇バイトの可能性があるかをクイズ形式で尋ねた。
授業を受けた同校2年の川名葉(よう)さんは「求人の文面を見て、どのように闇バイトに勧誘されるかが分かった。将来アルバイトをしたいと思っているが、その時は働く会社のことをきちんと調べてから応募したい」と感想を語った。また、萩原寛大特別活動指導主任は「具体的な求人の例を見せ、気を付けるべき箇所を具体的に示してくれたのは、生徒にとって非常に役に立ったのでは。自分がアルバイトをする時に備え、今のうちに知識を蓄えてほしい」と話した。