こども施策に関して当事者の声に耳を傾ける取り組みが本格化することを受けて、こども家庭庁は2月19日、「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」の案について、パブリック・コメントの募集を開始した。府省庁や地方自治体の行政職員がこどもや若者から意見を聞く際の方法や留意点をまとめており、今後、地方自治体のこども施策の計画策定などに役立ててもらう。
昨年末に閣議決定したこども大綱では、地方自治体にも、こども施策の基本方針をまとめた「こども計画」の策定を努力義務としており、その計画策定のプロセスにこどもや若者の意見を反映させることを求めている。しかし、日本ではこれまで、こどもや若者から意見を聞く取り組みが十分に進んでいるとは言えない状況があり、ノウハウが不足していた。
ガイドライン案では、こども・若者の意見を聞く意義として▽こどもや若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、施策がより実効性のあるものになる▽こどもや若者にとって、自らの意見が十分に聴かれ、社会に何らかの影響を与える、変化をもたらす経験は、自己肯定感や自己有用感、社会の一員としての主体性を高めることにつながる。ひいては、民主主義の担い手の育成に資する――の2つを挙げ、こども・若者の意見反映の具体的な方法を整理した。
意見反映のプロセスは、①企画する②事前に準備する③意見を聴く④意見を反映する⑤フィードバックする――という5つのステップを回すことが重要であるとし、特定の属性の意見に偏らないように、公平で多様な意見表明の場を設けることや、職員などの言動によって傷つけないようにするための予防や研修が必要であること、発達段階に合わせた分かりやすい資料を用意すること、学校との連携、マイノリティーをはじめとする声が届きにくいこども・若者への配慮などを事例と共に紹介している。
パブリック・コメントは3月6日までe-Govのホームページで募集している。こども家庭庁では今年度中にガイドラインを取りまとめる。