鬼滅の刃が問う「やさしさ」 中学生がつくった道徳の授業

鬼滅の刃が問う「やさしさ」 中学生がつくった道徳の授業
中学生がつくった「やさしさ」について考える道徳の授業を受ける子どもたち=撮影:藤井孝良
【協賛企画】
広 告

 炭治郎はどうして鬼を許したのだろうか――。大ヒットした少年漫画『鬼滅の刃』を題材に「やさしさ」について考える道徳の授業がこのほど、埼玉県朝霞市立朝霞第六小学校(田邊雅也校長、児童1036人)の4年生のクラスで行われた。授業は同小を卒業した中学1年生がつくったもので、保護者がゲストティーチャーとして教壇に立った。子どもたちは「鬼滅の刃」のワンシーンから、多様な「やさしさ」の存在に気付いていた。

 昨年に同小を卒業した市立朝霞第一中学校1年生の小澤光璃(ひかり)さんが、「なぜ漫画は教科書にならないのか」という疑問から、愛読していた『鬼滅の刃』から着想を得て、(一社)異世界の学校が運営する小中学生のオンラインコミュニティで授業づくりの探究学習を行った。この日は、母親の小澤彰美(てるみ)さんがゲストティーチャーとして、4年5組の子どもたちに授業をした。

 授業では子どもたちに優しいと感じる行動にはどんなものがあるかを思いつく限り付箋に書かせた後、辞書的な「優しさ」の定義を確認し、それらの行動が当てはまると感じるかどうかを考えさせた。

 その上で小澤さんは、『鬼滅の刃』ではキャッチコピーの一つに「これは、日本一慈(やさ)しい鬼退治」というものがあると紹介。実際に「鬼滅の刃」のアニメで主人公の竈門(かまど)炭治郎が、敵である「鬼」を倒した後、「鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いている者を踏みつけにはしない」と語るシーンを見せ、「なぜ炭治郎は鬼を許したのだろう?」と問い掛けた。

 授業を受けた児童は「なぜ炭治郎は許したのか、まだ自分の考えがまとまらないけれど、次に『鬼滅の刃』を読むときは炭治郎の気持ちになって考えながら読んでみたい。授業の最初に付箋に書いた『やさしさ』と、最後に出てきた『やさしさ』は、少し違う気がする」と話していた。

 彰美さんは「授業は娘がつくったが、小学4年生の子どもたちに伝わるように、先生たちと一緒にバージョンアップした。子どもたちに『やさしさ』の言葉が持つ意味の広さを与えられたならうれしい」と手応えを感じていた。

※最終段落の「先生たちがアレンジしてバージョンアップしてくれた」は「先生たちと一緒にバージョンアップした」に変更しました。

広 告
広 告