東京都渋谷区が2024年度から全区立小中学校で平日午後の授業を探究学習「シブヤ未来科」とする取り組みについて、3月1日に開かれた渋谷区議会文教委員会では、議員から「子どもたちの基礎的な学力は保障できるのか」「受験を考えると不安に思う保護者も多い」「どのように子どもたちの多種多様な探究学習をサポートしていくのか」といった質問や意見が相次いだ。
この日の同区議会文教委では、区教育委員会の担当者が来年度から全区立小中学校でスタートする午後の探究学習「シブヤ未来科」について説明した。同区では文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用しながら、総合的な学習の時間を年間70時間から約150時間に拡充するなどして、午後の時間を中心に子どもたちが自ら学ぶ探究学習を充実させていく。
こうした取り組みについて、多くの議員から「方向性としては理解できる」と一定の評価が上がったが、「主要教科の授業時数を1割減らすということだが、基礎的な学力の保障はできるのか」と質問が上がった。
これに対し、区教委の担当者は「教科の学習においても、これまでの教員が一方的に教えるような授業から、授業の在り方も変えていく。1人1台端末も活用して個別最適な学習を行うなど、基礎定着を図っていく。また、午前中に学んだ教科学習の基礎を午後の探究学習でも活用していくことで、より定着すると考えている」と説明した。
また「受験を考えると不安に思う保護者も多い。何かしらの結果が出ないと納得できないのでは」との意見には、「探究学習は小学校、中学校、高校と継続して行っていくもの。大学入試も大きく変わってきており、探究で取り組んできたことが生きていくと考えている」と話し、「今後は全国学力・学習状況調査の結果を中心に、探究学習が学力にどう影響していくのかも含めて検証し、その結果も公表していく」と述べた。
「探究学習は自ら積極的に取り組んでいける子は伸びていけるが、そうでない子は取り残されていくのではないか」との意見には、区教委の担当者は「今回の探究学習『シブヤ未来科』で大事にしたいのは、子どもたちが学ぶ楽しさを味わい、生涯学び続ける意欲を育むことだ。子どもたちのワクワク感や感動、分かるのは楽しいという気持ちや、自分の好きなことを探すことにつながればと思っている。ついていけない、学力的に不安がある子どもたちをどのようにサポートできるかについては、非常に重視して手だてを考えているところだ」と強調した。