大学生らで運営する(一社)Focus onは2月29日、都内で記者会見を開き、子どもが自分自身の疲労感を入力し、休んだ方がいい状態になるとアラートが出るセルフケアアプリ「Focus on」を開発したと発表した。入力した疲労感などは保護者や教職員にも共有ができ、はたからは気付きにくい子どもの疲れを把握して早めの援助が可能になる。今後、学校などでの普及を目指す。
同日にiOSアプリがリリースされた「Focus on」は、発達障害などの困難を抱えていて疲れやすい子どもが、毎日朝と夜に自分自身の疲れの状態を5段階で主観的・直感的に入力したり、テーマごとに設定された質問に答える形で、困り事や気持ちを記入したりできる。自身の疲れの度合いは可視化されていつでも確認でき、疲れが一定量を超えると休むように促すアラートが表示される。
入力された情報は保護者や教職員など、その子どもの支援者と共有することも可能で、子どもの疲労度や困り事などが分かるため、適切なタイミングで支援したり、声を掛けたりできる。子どもの疲労が悪化する前に対応できることから、支援者自身の負担軽減も期待できる。
「Focus on」はiOSアプリ以外にAndroid版も近日中にリリース予定。アプリのみの利用は無料だが、共有する場合は有料となる。家庭で使うことを想定した個人向けプランは年間6800円、学校や事業所で導入する場合は、利用ニーズや規模などを踏まえて対応するため、HPから問い合わせてほしいという。
このアプリのアイデアは、Focus on代表理事で立命館大学産業社会学部3年生の森本陽加里さんが高校生の頃に応募した「第7回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(主催:日本政策金融公庫)で、審査員特別賞に選ばれたことに端を発している。その後、賛同する学生らが次々に参加し、クラウドファンディングで開発費用を集め、学校での検証を繰り返すなどして、アプリのリリースにこぎ着けた。
発達障害があり、学校に通い続けたい気持ちはあったものの不登校も経験したという森本さんは「当事者の『分かってほしい』という気持ちと『分かりたい』という支援者側の気持ちが、なかなかかみ合っていないとずっと感じていた。いっそのこと、私の頭の中をのぞいてくれたらいいのにとすら思っていた。そうした原体験がこのアプリには反映されている」と思いを語った。