都が子供の事故予防ハンドブック 転落事故を分析し提言も

都が子供の事故予防ハンドブック 転落事故を分析し提言も
子供の発達段階ごとに事故予防の観点を解説したデジタルハンドブック=提供:東京都
【協賛企画】
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 子供の事故予防に向けて、東京都は3月1日、乳幼児、小学校低学年、高学年、中高生向けに、環境を変えることで事故を防ぐ視点から、さまざまな対策を紹介したデジタルハンドブックを作成した。合わせて、乳幼児の転落事故を防止するため、東京消防庁が持っている転落事故による救急搬送データの事例や子供の転落事故に関する保護者への聞き取り、転落事故に関する研究・分析などのエビデンスに基づいた提言を公表した。

 デジタルハンドブックは、これまで東京都各局が出していた子供の事故予防に関する情報を集約し、子供や専門家の視点を加えて編集。4冊とも周囲の環境で「変えられるところを変える」というメッセージを前面に出すため、カエルをモチーフにしたキャラクターが、具体的な事故事例や予防策を解説している。

 小学校低学年・高学年向けのものでは「食べ物が喉につまる」「川でおぼれる」など、近年全国各地で実際に起きている事故も取り上げ、子供自身が学校や家庭でどんな対策を実践できるかをイラストで示している。中高生向けのものでは、4コマ漫画で具体的な事故の事例を提示し、都内の中高生から出たアイデアなども紹介しつつ、通学中や部活動などでの安全確保について再確認できるようになっている。

 また、都では今年度初めて、過去のデータなどから子供のけがや事故を防ぐセーフティ・レビュー事業の一環で提言を出した。0~5歳の子供の救急搬送件数の中で転落事故が最多なのを受けて、今回は子供の転落事故を取り上げることとし、東京消防庁の救急搬送データを用いた転落事故の事例を分析するとともに、乳幼児がいる保護者にアンケートやヒアリングをしたり、実際に子供が転落した家具の画像を収集したりした。その上で、保育所の協力を得て、転落の原因となる子供のよじ登り行動を検証する装置を用いて、発達段階に応じて子供がよじ登れる高さや力の大きさを計測し、3Dで解析した。

 その結果、転落事故は窓際に配置された家具で起きていることが多いことや、70㌢を超える高さでも子供はよじ登れること、最大で体重の約半分の力で家具を引っ張れること、寝返りは1秒間で20㌢進むことといったエビデンスを得られた。このエビデンスを基に、提言では▽家具の配置を見直す▽よじ登る動きを抑制する▽家具を固定する▽落ちない場所で寝かせる▽床の材質を見直す――の5つの事故予防策を図解している。

 今回作成されたデジタルハンドブックや提言書は「東京都こどもセーフティプロジェクト」のウェブサイトから閲覧できる。

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