昨年末に閣議決定した「こどもの居場所づくりに関する指針」などを踏まえ、こども家庭庁は児童館のガイドラインや放課後児童クラブ(学童保育)の運営指針の改正に向けた議論を始めた。こども家庭審議会こどもの居場所部会の下に設置された「児童厚生施設及び放課後児童クラブに関する専門委員会」が3月8日に開いた初会合で、ガイドラインと運営指針の改正素案を示した。こどもの権利の学習や性被害防止対策などの内容の充実が図られる見込み。
「こどもの居場所づくりに関する指針」では、こどもの居場所づくりを進める上で、既存の児童館や放課後児童クラブを重要な地域資源として位置付けている。また、こどもの性被害防止対策や災害時のこどもの居場所の確保など、昨今の課題に対応するため、こども家庭庁は児童館ガイドラインや放課後児童クラブ運営指針の見直しに着手した。
専門委員会の初会合では、児童館ガイドラインと放課後児童クラブ運営指針の改正素案がそれぞれ示された。共通して、こどもの権利擁護の観点から、こどもが権利を侵害された際の対応や、こどもの権利について学ぶ機会を設けること、性被害防止のために「生命(いのち)の安全教育」を活用した啓発を行ったり、こども間での性暴力発生時に適切かつ迅速に対応できる体制を構築したりすることの追記を提案した。
加えて児童館ガイドラインの改正素案では、災害時の対応として被災した地域でのこどもの居場所・遊び場の確保のために、必要に応じて協力・支援することや、児童館の活動の一環として、オンラインやSNSなどを活用した居場所づくりを検討することなどを盛り込んだ。
また、放課後児童クラブ運営指針の改正素案では、学校と連携して特別教室をタイムシェアする際の取り決めに関してや、自然と触れ合いながら過ごせる環境の確保、プールなど普段と異なる活動をする際の安全管理の徹底、児童虐待が発生した場合の対応などを加えるとした。
今後の議論を踏まえ、専門委員会は今年夏ごろまでに改正案をまとめる方針。