小学校の医ケア児支援を調査 付き添いや災害対応が課題に

小学校の医ケア児支援を調査 付き添いや災害対応が課題に
iStock.com/andrei_r
【協賛企画】
広 告

 たんの吸引などの医療的ケアの必要な子どもやその家族の支援について、総務省は3月8日、小学校の医療的ケアの実施体制に関する調査結果を踏まえ、文部科学省に必要な措置を実施するよう通知した。総務省が調査したところ、医療的ケア児が小学校に入学している教育委員会のうち半数程度で、看護師の休暇や校外学習の際などに保護者が付き添っていたほか、全ての小学校で、災害によって学校での待機が長期化した場合の取り決めを行っていないなどの課題が浮き彫りとなった。

 総務省では、医療的ケア児の増加や2021年に施行された医療的ケア児支援法を受けて、22年12月~24年3月に、32市区町村教委の36小学校を対象に、入学した医療的ケア児42人のケースについて調査した。

 医療的ケア児支援法では、学校の設置者は在籍する医療的ケア児が保護者の付き添いがなくても医療的ケアなどの支援を受けられるようにするために必要な取り組みを求めているが、調査した結果、医療的ケア児であることの把握が教委で遅れてしまったり、看護師確保が入学までに間に合わず、医療的ケア実施者が確保できなかったりした事例が複数確認できた。また、医療的ケア児が入学した小学校がある30教委のうち、看護師が休暇を取ったときに保護者の付き添いが生じているのは14教委、校外学習のときに保護者の付き添いが生じているのは18教委あった。

 教委からは、給与水準の低さや勤務環境に対する不安、小学校に勤務するという認知度不足により看護師の確保が困難であるという意見もあった。

 さらに調査では、災害時に小学校で医療的ケアができる体制になっているかも調べた。その結果、36校中12校では必要な医療器具や非常食などを備蓄していなかった。人工呼吸器を使用する医療的ケア児が在籍している小学校でも、7校中4校で停電時のための非常用電源を確保していなかった。全ての小学校で、保護者が被災してすぐに医療的ケア児の引き渡しができずに学校での待機が長期化した場合の対応を取り決めていないことも分かった。

 こうした結果を踏まえ、総務省では文科省に対し、▽関係部署と連携した医療的ケア児の早期把握▽医療的ケア実施者の配置・採用形態の工夫などによる保護者の付き添いの解消に向けた取り組みの促進▽看護師確保のための支援方策の検討▽災害発生時にも医療的ケアが実施できる環境の整備――などを進めるよう通知した。

広 告
広 告