給特法の廃止・抜本的な見直しを、署名69万人分提出 日教組

給特法の廃止・抜本的な見直しを、署名69万人分提出 日教組
記者会見する日教組の梶原副委員長(右)と西嶋労働局長。69万人分の署名を収めた29個の段ボール箱が左側に見える=撮影:佐野領
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 日本教職員組合(日教組)は3月13日、教員の長時間勤務の解消と給特法の廃止・抜本的な見直しを求める教員ら約69万人分の署名を、盛山正仁文科相と中教審の荒瀬克己会長に宛てて提出した。署名提出の狙いについて、記者会見した日教組の梶原貴副委員長は「学校現場の教員たちは長時間労働を何とかしてもらいたいと考えている。そんな現場の声を中教審でもっと強く受け止め、長時間労働が是正できる仕組み作りの議論をしてもらいたい。そこに給特法の議論は避けて通れない」と説明した。

 署名は「『学校の大ピンチ』を救うための緊急署名」と題され、▽教職員とスクールカウンセラーなど専門職の配置・拡充▽教員の業務の役割分担・適正化と業務削減を文部科学省の責任において進める▽給特法の廃止・抜本的な見直し--を求めている。

 日教組によると、昨年12月から組合員1人が自分の他に1人に呼び掛ける形で署名運動を展開。日教組だけで60万人分に達し、連合傘下の労働組合の協力を受けた9万人分を合わせ、69万8091人分の署名が集まった。

 日教組の西嶋保子労働局長は「大きな動きになって、私たち自身も驚いている。学校の今の状況に危機感を持っている人は、学校現場だけではなく、たくさんいる。この思いをしっかりと受け止めてほしい」と述べた。

 教員の働き方改革や処遇見直しを議論している中教審特別部会で、給特法の枠組みを維持すべきだとする議論が大勢を占めている現状を受け、梶原副委員長は「私たちは教職員の命と健康を守り、子供たちの学びを保障するためには、給特法の廃止または抜本的見直しが必要だということを訴えている。4年前の改正給特法施行の時、いわゆる在校等時間という考え方が導入され、指針によってキャップ(上限規定)も掛けられた。しかし、罰則規定がないこともあり、これが守られない。その結果は勤務実態調査で6年間かかって在校等時間が30分程度しか縮まっていないことが物語っている」と述べ、現行の給特法の枠組みを維持したままでは、教員の長時間勤務は解消できないとの見解を強調。「私たちが求めているのは、勤務した時間を労働時間としてカウントしてもらいたいということ。そこを訴えていく」と語気を強めた。

 日教組によると、署名の提出を受けた文科省の担当者は「給特法については考え方がいろいろあるが、他の多くのところでは同じ方向を向いている」と応じたという。

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