保育人材の確保に向け、こども家庭庁は3月12日、第1回「保育人材確保懇談会」を開催した。保育・幼児教育関係者が連携し、専門職としての保育の魅力・イメージ向上や、社会全体に向けて行う情報発信の促進などを議論していく。座長には佐藤博樹東京大学名誉教授が選ばれた。
2023年12月に策定されたこども未来戦略を踏まえた保育士の職員配置基準の改善や、こども誰でも通園制度の創設など、保育人材の確保はより一層重要な課題となっている。同懇談会の開催に当たり、加藤鮎子こども政策担当相は「これまでも保育士の人材確保に向けては、保育現場の負担軽減や保育士の新規資格取得支援、再就職支援など総合的に取り組んできた。専門職としての保育士の魅力、イメージの向上に一丸となって取り組んでいくために、構成員の皆さんには活発にご議論していただきたい」とあいさつした。
自身が妊娠中に保育士資格を取得したという白鳥久美子委員(お笑い芸人)は「今、保育園にとてもお世話になっている。上の子が生後9カ月で保育園に入った時、私自身はメンタルが落ちていたが、保育士の方に『お母さん、すごく頑張りましたね』と声を掛けられて救われた。保育園は子どもを預ける場所だけではなく、家庭にとってもすごく大切な場所なのだと、イメージが伝わればと思う。保護者の保育士への感謝の気持ちを集めて伝えることができると、保育士のやりがいにもつながるのではないか」と話した。
また、「結婚や出産を機に仕事を辞めた人も、自分の育児の経験を生かしたり、保育園でお世話になったりした経験から社会貢献をしたいと保育士を目指す人も多い。そうした人をバックアップできる制度があれば」と提案した。
矢藤誠慈郎委員(全国保育士養成協議会常務理事)は「保育士の専門性を確立していくことで、社会の認知を高めていく必要がある。一方で、専門性に伴い報酬も上げていくとなった時には、養成の質が問題になる。養成教育のさらなる改善にも取り組んでいきたい」と述べた。
佐藤座長は「専門性に絡めて報酬を上げていくことは重要だが、保育人材の確保はそれだけでは解決できない」とし、今後、制度や運用面など、さまざまな角度から議論を重ねていく必要性を訴えた。