子どもたちに農業の歴史や農村の共同活動に関心を持ってもらおうと、農林水産省は3月11日、小中学生向けに農業や農村の役割を学ぶ「農業学習」に活用できる教材を作成した。小学校の教員向けに、農業遺産を扱いながら農業について深く学ぶ米作り学習の指導案も用意した。
子ども向けの教材は全部で3種類あり、このうち小学校高学年向けの『草刈りは地球を救う~SDGs達成につながる農村の共同活動』は、漫画やクイズを通して農村における共同活動とSDGsのつながりを学べる家庭学習用教材となっている。
残り2種類は、中学生「社会」の地理分野などで日本の諸地域を学ぶ際の補助教材として作成された『農業遺産から見る地域の特色を生かした持続的農業・林業・水産業』と、学習漫画の『ミーとトラ 瑞穂の国の大冒険~田んぼの軌跡をたどる旅~』。
『農業遺産から見る地域の特色を生かした持続的農業・林業・水産業』は、国内6地方の農業、林業、水産業についてまとめており、宮崎県で行われている「干し野菜」と露地畑作の高度利用システムなど、各地の気候や風土、地形などをうまく利用した特徴的な農林水産業も紹介している。教師向けに授業用スライドなども付いている。
『ミーとトラ 瑞穂の国の大冒険~田んぼの軌跡をたどる旅~』は、ネコのミーとトラを主人公にして、3つ集めると願いがかなうとされる勾玉を探して「瑞穂の国」の歴史の旅に出るというストーリーで、稲作の始まりから現代に至るまでの日本の農業の歴史をたどりながら、農地や水利用の技術など、土地改良が果たしてきた役割を学べる。
これらに加えて、小学校の教員向けにも『農業遺産で学ぶ「米づくり学習」カリキュラム案・授業案』を用意。「総合的な学習の時間」や小学5年生「社会」の「米作りに関する学習」の単元を想定し、動画教材を活用しながら農業遺産や資源循環型農業などを学べるカリキュラム案・授業案がまとめられている。
『草刈りは地球を救う~SDGs達成につながる農村の共同活動』と『ミーとトラ 瑞穂の国の大冒険~田んぼの軌跡をたどる旅~』は、電子媒体としてこの補助事業を実施したNHKエデュケーショナルのHPからダウンロードできるほか、3月21日まで、先着で希望する学校へ冊子の郵送も受け付ける。