女性の権利や生き方を考える「国際女性デー」にちなみ、医薬品メーカーの第一三共ヘルスケアはこのほど、10代に生理痛への理解を広める「みんなの生理痛プロジェクト for TEEN」を始めると発表した。生理に関する啓発資料を無料で配布するほか、高校などで生理や生理痛について考える出張授業を展開する。3月6日に都内で開かれたイベントでは、産婦人科医が高校生をはじめとする若い世代に向けて生理についての模擬授業を行い、参加者は、生理への理解を広めるためにどんな取り組みが必要かを話し合った。
生理痛のメカニズムに着目した鎮痛薬を販売したのをきっかけに、同社では昨年3月から「みんなの生理痛プロジェクト」に取り組んでいる。同社が昨年10月に15~18歳の女子の高校生にアンケートを取ったところ、66.7%が生理痛により学校生活に支障を来したことがあると回答。そうした経験のある女子生徒のほとんどが、症状を我慢していたことが分かった。
そこで同社では、10代のうちに性別に関係なく生理について学び、考え、生理痛への理解や思いやりを持てる社会にすることを目的に、新たに「みんなの生理痛プロジェクト for TEEN」をスタートすることにした。今後、生理痛に関する10代の声や疑問を集め、専門家による解説を載せたリーフレットの無料配布や、高校などへの生理に関する出張授業を実施していく。
新プロジェクトの発足に合わせて開催されたイベントでは、イーク表参道副院長で産婦人科医の高尾美穂さんが、10代の参加者に生理のメカニズムや生理痛の対処方法を教える模擬授業を実施した。高尾さんは「(生理痛で)困っている状態を本人自身が認識することが次のステップにつながる」と強調し、周りの人と生理について話すことで、自分の生理の状態に気付くことができると呼び掛けた。
その上で「本人が困っている状態を月経困難症と呼んでいる。かつて生理は病気じゃないから、生理痛も我慢しなさいと言われた時代があった。でも今は、本人の生活に支障が出ている状態はそれだけで病名がつくんだと知ってほしい」と話し、あまり我慢せずに産婦人科医に相談したり、薬を飲むなどの対処法を取ったりすることを勧めた。
模擬授業の後に行われたグループディスカッションで、参加者からは「学校の授業でも生物学的なことしか教えてもらえない。実際に生理痛に対する対処法といった実践的な知識を教えてほしい」などの意見が出た。