いじめ防止対策に関する政府の関係省庁連絡会議は3月22日、第3回会合をこども家庭庁で開き、いじめ対策の強化に向けた各省庁の取り組みの進捗(しんちょく)状況を確認した。連絡会議で取り決めていた優先的に対応すべきいじめ防止対策の強化に関する14の検討項目について、加藤鮎子こども政策担当相は「検討項目として若干古くなっているものや、この14の検討項目とは別に、各省庁において新たな取り組みを始めていただいたものもある」と指摘し、見直しの検討を指示した。
いじめの認知件数や重大事態の増加を受けて、政府全体でいじめ問題に取り組むことを目的に設置された連絡会議では、2022年11月にいじめ防止対策の強化についての14の検討項目を決定。▽犯罪行為が疑われる場合の警察連携の徹底など、関係機関との連携の強化▽重大事態の認知から調査開始までの迅速な処理に向けた検討▽学校外からのいじめ防止対策アプローチの確立方策――などを掲げている。
会合の冒頭、盛山正仁文科相は22年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」でいじめの認知件数や重大事態の件数が過去最多となったことを踏まえ、「いじめの積極的認知や早期発見・対応が進んだ面もあるが、児童生徒が深く傷つく事案も発生しており、引き続き大変憂慮すべき状況にある」との認識を示した。その上で14の検討項目に基づき文部科学省では、警察をはじめとする関係機関との連携を求める通知を出したことや、こども家庭庁と連携して、いじめの重大事態の収集・分析を踏まえたガイドラインの改訂に取り組んでいることを説明した。
また、警察庁は、いじめに起因する事件が23年は292件と前年と比べて大幅に増加したことについて、文科省が出した警察などの関係機関との連携を求めた通知の影響が要因の一つとして考えられると説明。法務省は、人権擁護機関が23年に取り扱った学校におけるいじめについて新たに救済手続きを開始した人権侵犯事件は1185件で、全体の13.2%を占めていることを紹介するなど、いじめ防止対策の取り組み状況や来年度予算案での関連事項について各省庁から報告が行われた。
これらを踏まえ加藤担当相は「現在の14の検討項目は策定から約1年半が経過し、検討項目として若干古くなっているものや、この14の検討項目とは別に、各省庁において新たな取り組みを始めていただいたものもある。いじめ防止対策に関する取り組みは、見える化し、進捗状況を把握していくことが必要だ」と述べ、これまでの取り組み状況や今後取り組む事項を整理し、見直しの検討に着手するよう各省庁に求めた。