高校公民・家庭科での損害保険教育 必要性と実施率に差

高校公民・家庭科での損害保険教育 必要性と実施率に差
iStock.com/takasuu
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 高校で新学習指導要領への移行が進んだことにより、公民科や家庭科で金融経済教育を実施している割合が着実に増えていることが、日本損害保険協会がこのほど公表した「高等学校におけるリスクや損害保険の教育に関する実態調査」の結果で分かった。損害保険についての教育は、公民科や家庭科の教員の9割近くが必要性を感じているものの、実際に授業で実施しているのは3人に1人程度と、依然としてニーズと実態に乖離(かいり)が生じていた。

損害保険に関する教育の実施有無と必要性を感じている教員の割合
損害保険に関する教育の実施有無と必要性を感じている教員の割合

 調査は2021年度から毎年実施しており、3回目となる今回は、昨年12月12日から今年1月22日に、全国の高校の公民科、家庭科を担当する教員に実施。公民科の教員で721件、家庭科の教員で834件の回答を得た。

 18年告示の学習指導要領で公民科や家庭科で内容が充実した金融経済教育について、実施していると回答したのは78.5%。教科別でみると公民科で59.5%(前年度比5.9ポイント増)、家庭科で95.0%(同4.7ポイント増)だった。

 一方で、生活におけるリスクへの経済的な備えとして損害保険について学ぶ、損害保険に関する教育に着目すると、全体で「実施している」は33.8%、「実施したことはあるが、現在は実施していない」は9.2%で、公民科よりも家庭科で実施されている傾向にあった。実施していないと答えた教員にその理由を複数回答で尋ねたところ、最も高かったのは授業時間数が足りないためで、76.7%に上った。

 しかし、授業で損害保険に関する教育を行うことの必要性を尋ねた質問では、全体で「必要である」は25.8%、「ある程度必要である」は63.0%を占め、特に家庭科では「必要である」の割合が年々増加。損害保険に関する教育に対する教員の重要性の認識と実際の授業での実施状況にギャップがある状態が続いている。

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