五感を揺さぶるSTEAM教育 高校生による空間デザイン作品展

五感を揺さぶるSTEAM教育 高校生による空間デザイン作品展
作品について山本教諭(左)に説明する生徒=撮影:秦さわみ
【協賛企画】
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 東京都の聖学院高校(伊藤大輔校長、生徒420人)でこのほど、独自科目「STEAM」で制作した作品の展示会が行われた。グローバル・イノベーション・クラスの1年生31人が「五感を使った空間デザイン」をテーマに、グループで制作した作品を紹介。作品のコンセプトや、それを表現するために使った素材や技術、作品に込めた思いなどについて、生徒たちが自分自身の言葉で、来場した保護者や教員らに説明した。

 同校は10年以上前から、レゴ®ブロックなどを取り入れた思考力入試に取り組んできた。「ものづくり」「ことづくり」を通して世界に貢献できる人材の育成を目指し、2021年に設置したグローバル・イノベーション・クラスでは、1~2年生で週6時間、理科・美術(2年生は数学)・情報の3人の教員による独自科目「STEAM」を行っている。

 ここではICTを積極的に活用するとともに、リアルな体験を通じて新たな価値を見いだす過程を重視。理論と感性の両面を大切にした想像力の育成、モノづくり・コトづくりに必要なスキルセットを学ぶ。

 1年生は今年度、卵や岩石から絵の具を作ったり、日常生活にある色や音などを観察し、自分なりのテーマで分類したりと、五感に意識を向けたワークに取り組んできた。授業では、生徒自身の「表現したい」という気持ちを出発点に、それを実現するために必要な知識は何かを考える――という過程を重視している。

新聞の見出しを使い、「心」を表現した作品=撮影:秦さわみ
新聞の見出しを使い、「心」を表現した作品=撮影:秦さわみ

 今回展示した作品は3学期に制作。生徒たちは「人生」や「心」「天国と地獄」などをテーマに選び、木材や粘土、ガラス、ライトなど、さまざまな素材を使って表現した。新聞の見出しを使って現代人の心の闇を描き出す作品や、レーザーカッターで切り出した木材の残りを精巧に組み立て、知の蓄積を表現した作品などがあった。

 授業を担当したSTEAMリーダーの山本周教諭は「最初は『どうすればいいですか』と正解を求めていた生徒が、次第に自分の経験などを基に、考えを説明できるようになった。生徒にとって、自分がしてきたこと、これからしたいことを考えるきっかけになれば」と話す。

 また「テクノロジーが発展し、動画やプログラムも簡単に作れる時代だからこそ、自分が何を好きで、何を作りたいのかを大切に、『好まれるデザイン』よりも『魅了されるデザイン』をしてほしい」と期待する。

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