共生社会の実現に向けて、インクルーシブ教育を推進している神奈川県教育委員会と同県海老名市教育委員会はこのほど、海老名市のフルインクルーシブ教育に係る取り組みの充実を図るため、協定を締結した。神奈川県庁で行われた協定締結式に出席した神奈川県の黒岩祐治知事は「小さい頃からみんながまぜこぜなのが当たり前なんだということを、教育に持ち込むことは非常に大事なことだ。先進的にインクルーシブ教育に取り組む海老名市とタッグを組んで、こうした流れが一気に広がっていくことを期待している」と述べた。
同県はインクルーシブ教育の実現に向け、新たに「フルインクルーシブ教育推進市町村」として海老名市を指定し、連携した研究を行っていく。2024年度当初予算として約700万円を計上しており、同県の花田忠雄教育長は「まずは海老名市と県でフルインクルーシブ教育を推進するための協議体をつくる。今の学級規模や教員の体制でいいのかなども含めて、検討していかなければならない。また、市民の理解を得る必要もあるので、フォーラムなどを通じて啓発活動も行っていく」と説明した。
海老名市では今後、全ての子どもたちが地域の小中学校に通い、同じ場で共に学び、共に育つことを目指す。同市の伊藤文康教育長は「フルインクルーシブ教育は普通にあるべき形だと常に思っている。海老名の子どもたち、保護者、教職員、市民の声も聴いて、議論し、みんなでフルインクルーシブ教育をつくり上げていきたい」と決意を述べた。
また、黒岩知事は「最初からパーフェクトなインクルーシブ教育を実現することは不可能だ。まずは始めてみることが非常に大事だ。やりながら次の課題を見つけ、取り組んでいく。県としてもそれに合わせて予算措置をしていく」と述べた。