2023年度に首都圏の私立大学に入学した新入生が受験から入学までにかかった費用は、下宿生などの自宅外通学者が230万2181円、自宅通学者が162万3181円で、いずれも過去最高となったことが4月5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の「私大新入生の家計負担調査」の結果で分かった。自宅外通学者は物価高騰による生活用品費の支出増が多かった一方、受験費用が減少していた。東京私大教連では、経済的な事情から受験する大学や短大の数を減らした新入生が増えたためとみている。
調査は23年5月から7月にかけ、首都圏の1都3県にある13の私立大学・短大を対象に実施。有効回答数は3905件だった。同様の調査は1983年から続けられており、今回で39回目となる。
調査結果によると、23年度の新入生が受験から入学までにかかった費用は▽自宅外通学者 受験費用25万3800円(前年度増減額1万1500円減)、家賃6万9700円(同2400円増)、敷金・礼金24万9600円(同2900円増)、生活用品費36万3800円(同4万4800円増)、初年度納付金136万5281円(同8201円増)=合計230万2181円(同4万6801円増)▽自宅通学者 受験費用25万7900円(同2700円増)、初年度納付金136万5281円(同8201円増)=合計162万3181円(同1万901円増)--で、いずれも過去最高だった。
自宅外通学者と自宅通学者を比べると、受験費用は自宅外通学者が1万1500円減っていたのに対し、自宅通学者は2700円増えていた。東京私大教連では「物価高や可処分所得の減少などによって負担感が増えたため、子どもたちが我慢して受験機会を減らしていることがうかがえる。本当に教わりたい先生がいる大学ではなく、自宅に近い大学を選んでいる子どもたちも増えているのではないか」と話している。
また、自宅外通学者に対する家族からの仕送り額は、出費が落ち着く6月以降で月8万9300円だった。前年度より700円増えたが、過去最高だった1994年度の12万4900円と比較すると、3万5600円も減少している。一方、家賃は上昇傾向にあり、今回の調査では仕送り額から家賃を引くと、生活費として残るのは1万9600円で、1日当たり653円となった。これは過去最高だった1990年度の月7万3800円、1日当たり2460円に比べると大幅に減って4分の1程度となっている。
この結果について、東京私大教連では「食費、教材費、交通費、通信費などの生活費を1日653円でまかなうことはできない。学業が犠牲になるほど長時間のアルバイトをすることが、大学生活を送るための前提になっている」と、危機感をあらわにした。
こうした実態を受け、東京私大教連は、国による大学等修学支援新制度の対象を全ての学生に拡大することや希望者全員が無利子奨学金を受給できるようにすること、私学助成の大幅な増額などを求めている。
【訂正】記事中、自宅外通学者の受験費用は25万3800円、初年度納付金136万5281円(同8201円増)でした。