教員不足解消へ独自登録バンク 奈良県生駒市で不足0に

教員不足解消へ独自登録バンク 奈良県生駒市で不足0に
「いこま教育・保育資格登録バンク」への登録を呼び掛けるポスター
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 教員不足の解消に向けて、奈良県生駒市はこのほど、教員免許資格などを持つ市民に呼び掛けて「いこま教育・保育資格登録バンク」を設置した。すでに50人が登録し、欠員の生じた中学校へ迅速に講師を派遣するなど有効に機能している。同市では昨年1月時点で講師が10人不足していたが、教員免許などを持つ人を対象にした就労相談会開催や今回の登録バンク活用によって、今年4月時点で講師不足ゼロを実現している。同市教育指導課は「隣接する大阪で教員を通して定年を迎える市民などにもバンクへの登録を呼び掛けて、必要な教員を安定的に確保したい」と話している。

 全国的に教員不足が課題となる中、奈良県では県教委が講師登録を進めて欠員の生じた学校をサポートしているが、現場のニーズに対応しきれておらず、生駒市は昨年から独自に教員不足解消に向けた対策を進めている。昨年2月から8月にかけては教員免許などを持つ人を対象に小中学校への就労を促そうと「就労相談会」と「個別相談会」を開催し、合わせて103人が参加した。参加者それぞれの就労ニーズや小中学校の求める条件などを調整した結果、10月までに小中学校の講師12人をはじめ司書教諭1人、特別支援教育支援員9人、スクールサポートスタッフ3人の計25人が就労している。

 同市によると、相談会に訪れた人からは、「今すぐの就労は難しいが時期をみてお手伝いしたい」「研修などがあれば参加した上で役に立ちたい」などといった声があったといい、今後も安定して教員の欠員などに充てられる人材を確保するため、新たに教員免許や保育士、司書など教育や保育に関する資格を持つ人に登録してもらう「いこま教育・保育資格登録バンク」を設置することを決めた。

 同バンクは2月にスタートし、これまでに50人が登録している。教員免許の資格者が約8割を占めるという。登録者には、定期的に市内の学校や保育所などの求人情報やセミナー情報を知らせている。すでに登録者が学校現場に就労するケースが相次いでおり、幼稚園の預かり保育で働いていた女性が3カ月間、欠員の出た中学校の英語講師を務めた後、4月から小学校で英語を教えるといった事例も生まれているという。

 さらに同市は今年4月から市内の小学校12校に1人ずつ理科や図工などの教員を加配する措置を取っているが、数人は登録バンクから要員を確保したといい、4月現在、同市では講師不足ゼロとなっている。

 同市教育指導課教育政策室は「登録者の中には資格を持っていてもブランクがあってすぐ教壇に立つことに不安を感じている方もおり、そうした方への研修会も開いていきたい。また、生駒市には隣接する大阪で教員として働いている人も多く、定年を迎える方などにも積極的に登録してもらい、必要な教員を安定して確保できるよう努めたい」と話している。

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