山梨県教育委員会は、不登校やヤングケアラー、病気なども含めて長期にわたって欠席した生徒が志望する高校に出願できるよう、長期欠席者などを対象とした調査書を用いない新たな入試制度「長期欠席者等を対象とした後期特別選抜」を、2024年度に実施する全ての県立高校入試において導入する。特別選抜では、学力検査と個人面接で合格者を決定する。県教委の担当者は教育新聞の取材に4月18日、「長期欠席した生徒たちの再チャレンジを支援していきたい」と今回の導入について話した。
現行の県立高校入試制度では、5教科の学力調査と中学校長が作成する調査書を同等に評価し、総合成績で合格者を決定している。不登校などで長期にわたって欠席などをした生徒は、中学校での学習の見とりができないために調査書の評価が低くなり、本来志望する高校への出願を諦めたりしている現状があった。
22年度の調査では、県内の中学3年生の不登校は約450人。県教委の担当者は「今回の特別選考を導入することで、不登校や病気、ヤングケアラーなど、さまざまな事情で長期に学校を欠席していた生徒たちの再チャレンジを支援していきたい」と説明する。
新制度では、県内在住の中学3年生で①長期欠席者等(保健室やフリースクールへの登校により出席扱いになっている生徒も含む)で、特別選抜による出願を希望する②在学する中学校長が特別選抜による出願を認める(校長が事情説明書を作成)――のいずれにも該当する生徒が対象となる。
募集人数は各高校で2~4人程度を想定。募集定員の全体数は変更しない。学力検査と個人面接で合格者を決定し、学力検査には一般選抜を参考とした合格ラインを設けるとしている。