教育DXの実現に向けた方策を協議してきた文部科学省の「教育データの利活用に関する有識者会議」は4月22日、第21回会合を開き、第3期として教育DXの第2段階であるデジタル技術やデータ利活用による学習指導・教育行政の改善に向けた議論をスタートさせた。今後、ヒアリングなどを通じて教育データ利活用のための標準的なシステム構成や持続可能な教育データの利活用に向けた国、自治体、民間の役割分担について検討を行い、年内に議論の取りまとめを行う。
有識者会議では3月に第2期の議論の取りまとめとして「教育データ利活用の実現に向けた実効的な方策について」を公表し、GIGAスクール構想の定着による教育データの本格的な利活用に向けて、1、2年のうちに必要な取り組みなどを整理した。その中で▽教育データ利活用の意義の周知・必要性や有用性の認識共有▽教育データ利活用のための標準的なシステム構成の提示、各自治体における実装支援▽データリテラシーの向上とデータの適切な取り扱いの徹底▽国、自治体、民間等の役割分担を踏まえた教育データ利活用の推進――の4つを、今後に向けた課題として挙げている。
これを踏まえ、第3期では教育データの利活用を先進的に取り組んできた地域のみならず、全国の教育委員会・学校に広げていく観点から、教育データの利活用に関する実態やニーズを整理して、教育データの利活用が効果的なケース例を分かりやすく提示。こうしたケース例を実現するために必要となる機能やサービスの現状を踏まえつつ、自治体で整備するのが望ましいシステム構成を検討する。その上で、教育データの利活用を持続的に行っていくため、コスト面も含めて国、自治体、民間企業、研究機関などが、それぞれどのような役割を果たしていくべきかを提案する。
座長に就任した堀田龍也東京学芸大学教職大学院教授は「ここから先はできるだけ具体的で、学校現場の先生方や民間事業者の方々から見て納得度の高い形で進めていくことが必要だろう」と強調。「これまでは『そもそもやっていいのだろうか』『やってみたらこうなった』というレベルだったが、これからは具体的なユースケースをしっかりつくり、手掛けられる自治体から手掛けてもらうことを推進する。そのときに現場の先生は何をすべきか、管理職はどうか、教育委員会はどうすべきか、文科省をはじめ省庁はそれをどう支援していくのか、民間事業者に何をお願いすべきなのかといったことについて、検討を進めていきたい」と委員に呼び掛けた。
第3期の期間は来年3月31日までとなっており、年内に議論の取りまとめを目指す。