学習指導要領に子どもの権利を 条約批准30周年でイベント

学習指導要領に子どもの権利を 条約批准30周年でイベント
iStock.com/art-skvortsova
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 日本が国連子どもの権利条約を批准してから4月22日で30年を迎えたことを受けて、子ども支援の団体などで構成される「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」は同日、日本の子どもの権利保障の課題を関係団体などが共有するイベントをオンラインで開催した。昨年末のこども大綱の閣議決定などの動きを踏まえ、同キャンペーンでは学校での子どもの権利の保障と、自治体における子ども参画の推進を今年度の重点テーマに据える。この日のイベントでも、教育基本法や学習指導要領などの教育関連法規に子どもの権利を位置付けていく必要性が提起された。

 イベントは、1994年4月22日に日本が国連子どもの権利条約を158番目に批准してから、30周年となるのを記念して開催。昨年のこども基本法の施行やこども家庭庁の発足、こども大綱の閣議決定など、こども政策が急速に進み、今後は自治体でのこども施策の基本計画づくりも本格化する。そうした中で同キャンペーンでは昨年度、子どもの権利について、子どもたちが子どもたちの声を集める「子どもメガホンプロジェクト」を展開。アンケートなどを基に、学校で子どもの権利を教えることや、子どもの権利が守られるようにすること、子どもが安心して意見や相談を言える環境・仕組みづくりを求める提言を出している。同キャンペーンでは今年度、学校での子どもの権利保障や自治体が子どもの声を聞く取り組みの推進に力を入れる方針だ。

 この日のイベントでは、このメガホンプロジェクトに関わった子どもや、キャンペーンに賛同する子ども支援団体が、それぞれの観点から日本の子どもの権利を巡る課題を共有した。

 日本若者協議会の室橋祐貴代表理事は、日本の若者は他国に比べて「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」と考えている割合が顕著に低いという日本財団が行った調査結果を紹介し、「そもそも国や社会に参加する以前の問題で、成長過程、義務教育段階で自分たちの声が大事にされていないことが極めて大きいのではないか」と問題提起。同協議会が学生に行ったアンケートから、最初から諦めているわけではなく、実際に学校などで声を上げたものの、教員に親身に対応してもらえず、自分たちには力がないと思ってしまう「学習性無力感」に陥ってしまっていると批判した。

 その上で、生徒指導提要や教育振興基本計画に子どもの権利や声を尊重することが記載されたことを評価しつつ、今後の課題として教育基本法や学校教育法、学習指導要領などの教育関連法規に子どもの権利が明記されていないことを指摘。「(これらの教育関連法規に書き込んで)子どもの権利保障を制度化していくことが極めて重要ではないか」と呼び掛けた。

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