約8割の学校は推奨帯域満たさず GIGA端末通信環境

約8割の学校は推奨帯域満たさず GIGA端末通信環境
iStock.com/Iaremenko
【協賛企画】
広 告

 文部科学省は4月24日、全国全ての公立小中高校を対象に行った、GIGA端末を使用する通信環境についての調査結果を公表した。同省が学校規模別に設定した「当面の推奨帯域」を満たしている学校は2割程度にとどまり、特に学校規模が大きくなるほど推奨帯域を満たす学校の割合が少なくなる傾向がみられた。同省は、推奨帯域を満たさなくても授業に活用できないというものではないと説明した上で、学校がネットワーク環境を分析調査するネットワークアセスメントや通信契約の見直しを支援するなど、通信環境の改善に取り組むことにしている。

 同省は昨年11月から12月にかけて、全国全ての公立小中高校約3万2000校と各市区町村教委を対象に、GIGA端末で使用する通信契約の内容や各校の通信環境による通信速度などを調べた。同時に、学校規模に応じて全ての授業で多数の児童生徒が同時に端末を活用しても支障が生じない水準を「当面の推奨帯域」に設定して、各校の調査結果と照らし合わせた。

 その結果、回答した3万89校のうち推奨帯域を満たす学校数は6503校にとどまり、全体の21.6%にとどまった。また、学校規模が大きくなるにつれて推奨帯域を満たす学校が少なくなる傾向があり、児童生徒数60人以下の学校では約82%に達しているのに対し、701~840人規模では3.2%、841人以上の規模では約2%と大きな差がみられた。

 この結果について同省学校情報基盤・教材課は「推奨帯域を満たさないから使えないというわけではないが、全クラスが同時に端末を使うことをイメージすると改善が必要であり、取り組むべき課題が明らかになったと考えている」と話している。学校規模が大きくなるほど推奨帯域を満たす割合が低い傾向については「自治体が通信事業者と契約する際に学校規模別まで精査しきれていない可能性があると推測される」としている。

ネットワークアセスメント実施は約4割

 同省は、今回の調査から見えてきた課題として、▽不具合の原因特定が不十分▽通信契約の内容が十分ではない▽自治体で専門性ある職員の確保が難しく交渉力が不足している――の3点を挙げた。

 このうちネットワークがつながりにくいなどといった不具合の原因については、機器のスペック不足や設置場所などさまざまなことが考えられるが、今回の調査ではネットワーク環境を分析調査するネットワークアセスメントの実施率が全自治体の41%にとどまっており、必ずしも必要な調査が行われていない可能性があることが分かった。このため同省は、課題のある学校でのネットワークアセスメント実施を支援するために2023年度補正予算で確保した23億円を活用して支援することにしている。

 また、推奨帯域を満たさないなど回線契約が不十分とみられるケースが多いことについては、安価な調達事例の横展開や帯域の目安、選択肢となる通信サービスを示すほか、スケールメリットを生かすために広域調達や共同調達についても支援することにしている。

 さらにネットワークアセスメントの発注や通信契約の変更について事業者と適切に交渉するためには一定の知識が求められることから、同省は近く自治体向けの「学校ネットワーク改善ガイドブック」を作成して配布するなどして、担当者の専門性向上にも取り組んでいくことにしている。

広 告
広 告