東京都教育庁は4月24日、昨年度の条件付採用教員の任用状況について公表した。新規採用教員3472人のうち、正式採用とならなかったのは169人で、その割合は4.9%だった。2022年度の4.4%を上回り、過去5年間の中では最も高い割合となり、3年連続で増加している。169人のうち約7割が小学校教諭で、自己都合退職者の約半数は病気を理由としたものだった。都教育庁の担当者は「民間企業の離職率と比較すると半分以下の割合ではあるが、定着に向けてサポート体制をさらに強化していく」としている。
都が小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校において昨年度に新規採用した条件付採用教員は3472人。そのうち、正式採用とならなかったのは169人で、小学校が116人と約7割を占めた。地方公務員の条件付採用期間は通常6カ月のところ、教諭等(教諭、助教諭、講師)については1年間とされている。条件付採用教員のうち、正式採用とならなかった人の割合は、19年度は3.7%、20年度は2.8%、21年度は4.2%、22年度は4.4%、23年度は4.9%と推移しており、過去5年間の中で最も高く、3年連続で増加している。
169人の内訳は「年度途中の自己都合退職者等」が最も多く159人。そのうち約半数は病気が理由で、約3割が転職、約2割が介護などその他の理由だった。また、「正式採用『否』の者」は9人で、その全員が「自主退職者」だった。「懲戒免職」は1人だった。
都教育庁では、昨年度から小学校の新規採用教員全員に対し、臨床心理士などが年2回、学校を訪問し、面談を行うアウトリーチ型の相談事業をスタートさせた。面談後のアンケートでは「気持ちが軽くなった」「こちらから行かなくても相談ができることはありがたい」といった声が上がっているという。都教育庁の担当者は「こうした相談事業が教員の支援につながっていくよう、アンケート結果の分析などを進める」としている。
加えて、今年度からは同じく小学校の新規採用教員が同年代の先輩教員に仕事の悩みなどを相談できるメンターの仕組みも導入。都教育庁の担当者は「メンター役の教員や管理職に対する研修なども実施する予定で、コミュニケーションの手引きなども作成した。メンターに過度な負担がかからないようにしながら、学校全体で人材育成力を向上させるよう支援していく」と強調した。