角川ドワンゴ学園が運営する広域通信制高校のN高校(奥平博一校長)・S高校(吉井直子校長)でこのほど、芥川賞受賞作家らが「生成AIと創造性」をテーマに語る特別講義が開かれた。生成AIも使用して書いた小説『東京都同情塔』で芥川賞を受賞した九段理江さんと、人工知能を研究している名古屋大学の佐藤理史教授が講師として招かれ、講義の様子はオンラインでも配信された。
九段さんは生成AIについて、芥川賞受賞作に登場する生成AIの回答の一部や、アイデア出しなどに使ったことを紹介。受賞会見で、「全体の5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」と話したところ、批判する声がたくさん寄せられたと話した。
九段さんは自分を励ましてもらうためにも生成AIを使用したが、「孤独感から一瞬解放されたが、対話を続けるうちに孤独感が一層深まった」とし、「人間は時間の積み重ねによって関係性を結べるが、AIとは友達になれない。関係性によってしか生まれない言葉がオリジナリティーだと思うので、高校生の皆さんへのアドバイスとしては、生身の人間と対話しながら、その人としか取り結べない関係性を築いていくことが大切だと思う」と話した。
同校では今月から、生徒が生成AIを活用できる環境や機会を提供し始めた。会場で講義を受けた高校2年生の男子生徒は、「つい最近までAIについて全然知らなかったので、それで文章を作ったり研究したりしている方々の話はとても貴重だった。高校でもみんなで意見を出して、AIの使い方を考えていきたい」と話した。