学校送付の「文書半減」を達成 山梨県教委プロジェクト

学校送付の「文書半減」を達成 山梨県教委プロジェクト
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 学校現場の負担を軽減しようと、山梨県教育委員会が2023年度に始めた「学校現場への文書半減プロジェクト」の1年間の取り組み状況がこのほど公表され、県教委から公立学校への文書送付は文書全体の51.5%にとどまり、ほぼ半減していることが分かった。県教委が文書を精査して送付するかどうか判断する仕組みで、新たに導入された校務支援システムを活用して情報共有を図った効果が大きかった。同教委は「地道に続けていくプロジェクトであり、さらに工夫を重ねて学校現場の負担を減らしたい」と話している。

 同プロジェクトは、授業以外の事務作業が教員の大きな負担になっているとして、山梨県教委が昨年4月に打ち出した。国などからの通知や連絡をはじめ県が行う調査やアンケートも含めて、全て県教委の担当課が教育企画室と共に文書の内容を精査して学校に送付するか、市町村教委で留め置くか、送付しないかなどを判断する。山梨県内の小中学校では23年度から一斉に校務支援システムが導入され、文書を送付しなくても担当の教職員らが情報を共有できる仕組みが構築されており、このシステムもフル活用した。

 この結果、23年度は1922件の文書のうち、学校運営上、必要性が高いとして公立学校に送付した文書が990件(51.5%)にとどまり、校務支援システム活用などで共有した文書が637件(33.1%)、必要性が低いとして送付しなかったものが295件(15.4%)となった。

 同教委教育企画室によると、国からの調査依頼などは、学校現場まで下さずに県教委や市町村教委で答えたものもあるが、全て国と相談しながら回答したという。また、県が定例的に実施する調査・アンケートも頻度を下げるなど見直しを進めた。

「文書半減プロジェクト」による学校の負担軽減効果(山梨県教委まとめ)
「文書半減プロジェクト」による学校の負担軽減効果(山梨県教委まとめ)

 このプロジェクトにより学校現場の負担がどれくらい軽減されたか、「学校現場の文書処理に費やす1週間当たりの時間数の変化」について昨年5月と今年2月を比較したところ、校長は6.02時間→4.69時間と1.33時間(22.1%)削減されたのをはじめ、教頭は10.42時間→7.42時間と3時間(28.8%)削減、教諭は3.30時間→2.82時間と0.48時間(14.6%)削減、事務職員は12.71時間→8.04時間と4.67時間(36.8%)削減されたことが分かった。特に学校の文書処理の窓口となることが多い事務職員と教頭に大きな削減効果が見られた。

 同教委教育企画室は「学校現場の負担を減らして本来業務の時間を確保しようと取り組んだ結果、一定の成果は出ているが、今後も地道に続けるべき取り組みと考えている。学校現場には県教委以外からも多くの文書が送られてくると聞くので、県と関係がある他団体にも働き掛けて文書を減らすなど、さらに働きやすい環境づくりを進めたい」と話している。

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